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■ 08年06月25日(水)

アジア都市建築研究会[柳沢究]

なかなかブログが再開できませぬが、今度、下記のような発表を行います。
明後日(!)ですが。ご興味のある方いましたら、是非お越し下さいませ。

poster.jpg

>> 詳細こちら

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第76回アジア都市建築研究会
「変容する聖地の都市空間:ヴァーラーナシー」

■講師:柳沢究
■日時:2008/6/27(金)17:00〜19:00
■場所:滋賀県立大学 環境科学部

 インドの一大聖地・ヴァーラーナシーの市街地には、数千におよぶヒンドゥー寺院・祠が存在するといわれる。それらの寺院・祠は複数の巡礼路により結びつけられ、いまなお儀礼装置として機能している。しかし、ヴァーラーナシーの「聖地」としてのニ千年の歴史は、同時に人々の生活の場としての「都市」の歴史でもあった。
 本講演では、ヴァーラーナシーの聖地としての側面を概観した上で、都市としての側面、とりわけ街区・住居など居住空間の構成について、スライドを交えながら紹介したい。また、現代の都市空間における両者の重層性について考えてみたい。

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コンペ応募作業に一息つき、これからスライドを整理します。

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■ 07年08月24日(金)

マドゥライ / 超巨大コーラム[柳沢究]

コーラムも町中で見られます。

僕の名刺に使っているのと同じデザインのコーラムを発見。


これはちょっと複雑。


そして, ミーナクシー寺院の床に描かれていた超巨大コーラム。
そのサイズ4m四方。75×75の配列点上に描かれている。
たぶん一筆描きできる。おそるべし。


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■ 07年08月23日(木)

マドゥライ / 牛[柳沢究]

ゴミ捨て場の牛と映画のポスター

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■ 07年08月22日(水)

マドゥライ / ミーナクシー寺院[柳沢究]

調査で南インド、タミル・ナードゥ州のマドゥライに来ています。
まだ雨季には入っていないので暑いのですが、今年の日本よりは涼しい。
南インドでは、人々の物腰が柔らかくて嬉しい。道ばたで目があうと微笑んでくれる。
ヴァーラーナシーやデリーと違って、なんと心安らかに過ごせることか。

南インド最大のヒンドゥー寺院の一つ、ミーナクシー・スンダレシュワラ寺院
そびえ立つゴープラム。
過剰というべきか豊穣というべきか。


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■ 07年08月07日(火)

ガンジス河の水没寺院[柳沢究]

ヴァーラーナシーは、インドで最も聖なる河とされるガンガー(ガンジス河・恒河)の河岸に展開する都市です。ヒンドゥー教最大の聖地であり、インド国内外のあちこちから数多の巡礼者が訪れます。巡礼者たちが朝日を浴びながらガンガーで沐浴する風景は、テレビなどでもお馴染みでしょう。映画「深い河」では秋吉久美子も沐浴していました。そういえば、長澤まさみが主演のヴァーラーナシーを舞台にした映画 (ガンジス河でバタフライ) があるそうで、つい先月そのロケがヴァーラーナシーで行われたと聞きました。あんなところでバタフライなどして体は大丈夫かしらと、にーにーは心配です。

(2007年6月)

インドにはモンスーンのやってくる雨季と灼熱の乾季がありますが、ガンガーの水面はその間に6〜7mほど上下します。はじめ、河の水面が毎年数mも動くということが信じられなかったのですが、それをものすごくよく理解させてくれる寺院が河岸に建っています。
上の写真は、その寺院を乾季の6月に撮ったもの(6月は雨季直前の最も暑い時期。気温は45度を越え湿度もばっちりあります。きついです)。

これが雨季の終わり頃だと、

(2000年10月)

こうなり、
雨季真っ最中は、

(1999年9月)

こんな感じです。

石造建築とはいえ、そんな毎年毎年水没していて大丈夫なのかしらというにーにーの心配をよそに、聖なるガンガーで沐浴する寺院、しかも擬似的に消滅と再生を繰り返すこの寺院は、聖地ヴァーラーナシーにおいてもとりわけ象徴的な存在であり、篤い信仰を集めていると思われます。
そしていつか、乾季になって水が引いたら寺院がなくなっていた、なんてことになったとしても、この寺院は都市の記憶の中に生き続け、信者は変わらずそこへ参拝にやってくるに違いないのです。そんな場所がヴァーラーナシーにはいくつもあるのです。

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■ 07年03月12日(月)

久々の研究発表[柳沢究]

ヴァーラーナシーにあるとあるヒンドゥー寺院の建物。真ん中に見える茶色い塔が寺院。しかし1階部分はお店になり、上には建物が増築され、おまけにそこへ塔の先端が突き刺さっている。
周囲の増改築によりこんな状態になった寺院が、ヴァーラーナシーではしばしば見られます。寺院が都市の中でどういう存在なのかを物語る、実に興味深い現象です。

という話とはあまり関係ないのだけれど、12日には万博公園の民族学博物館の研究会で、久々にインド研究の発表をやりました。

題目は「モハッラと都市空間:ヴァーラーナシーを事例に」。

『モハッラ mohalla』というのは、北インドの都市の近隣・街区単位であり、かつては地域コミュニティの単位でもあった(元々はアラブ起源の概念)。そのモハッラがヴァーラーナシーにおいては、どのような構成をもって都市空間に配されているのか、というテーマを現地での調査を元に話した。僕の博士論文の一部をなすものでもある。
都市の一つの構成単位であるモハッラの特徴を把握することで、ヴァーラーナシーという町のなりたちや特徴が見えてくるのではないか、という筋書きである。

モハッラについての研究は、社会学や歴史学分野に若干の研究があるものの、その空間的側面にはまだまだ明らかではない。そんなこともあってか、発表は(ゲストに対するリップサービスはもちろんあったにせよ)けっこう好評であったように思います。文化人類学的視点からの鋭い質問もたくさん頂いて、異なる視点からの批評をもらうことや、期に応じて研究を取り纏めていくことの大切さを改めて実感したのでした。
感謝合掌。この勢いで…。

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■ 07年03月08日(木)

人力観覧車?[柳沢究]

来週の発表の準備で、7年前のインド調査時の写真を見ていたら面白い一枚がありました。ヴァーラーナシーの街を訪れた巡回遊園地(!)の「人力観覧車」(あれ、でもこれは「観覧」車ではないよなぁ。どう考えても。「回転ブランコ」は水平回転だし、何と呼べばよいのかわからない)。

回転軸部分に3人の屈強な男が入り、交互に全体重をかけて車軸を回していく。ちょうど自転車のペダルを漕ぐような要領である。彼らが疲れるとゆっくりに、乗客の反応がよくて気分がのると猛スピードで加速するというヒューマンな乗り物。
動画で見せられないのが残念ですが、最高速時はかなり速いです。数秒で一回転します。

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■ 06年10月29日(日)

コーラム論…6/交差とすれ違い[柳沢究]

コーラムの描画規則をふまえた上で、そのバリエーションの生成システムについて考えてみたい。

まず最初に考えたのは、コーラムのパターンを何らかの記号や数値に置き換えることができないか、ということだ。前に示したように、コーラムの描線が通る道筋は下図のようにかなり限られている(この緑の点線を、描線の通りうる経路という意味で、仮に「仮定経路」と呼ぶことにする)。



そこで、この図をじっくり眺めていると、コーラムの様々なパターンというのは、この仮定経路の交点(斜行格子の交点)部分の形状が、「交差(2直線の直交)」となるか「すれ違い(背反する2円弧)」になるか、の組み合わせでできていることに気付いたのである。

例えば仮定経路の各交点の形状を下図のように、●を「交差」、○を「すれ違い」として設定してみると、

このようなパターンになるというわけだ。


ちなみに全てを「交差」にすると左図、すべてを「すれ違い」にすると右図のようになる。

 

※すれ違いの方向は可能性としては2種類ありえるのだが、前述の描画規則(2)によって必ず点を中心とするように定められていることに注意。


ある配列点が与えられた時、仮定経路は自動的に定まる。
交点の位置と数も同時に定まる
交点の形状は2つに1つである。

ということは、仮定経路の各交点に「交差=1」と「すれ違い=0」という具合に値を割り当てやれば、すべてのコーラムのパターンを二進数の数値で表現できるということである。
数値化できるということの有効性は、例えばコンピューターを用いた網羅的な分析が可能になるということであり、例えばナンバリングによるコーラム紋様のデータベースなんてものがつくれるということだ。これは我ながら重大な発見であったと思う


次回は、数値化の具体的プロセスについて。

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■ 06年10月18日(水)

コーラム論…5/描画のルール3[柳沢究]

【コーラムの描画規則 3】

前回、前々回と、7つの描画規則を紹介してきたが、ここであらためて補足というか注記しておきたい。

これら7つの規則は、南インドの道ばたで見られるコーラムや、販売されている教本などの多数のサンプルを眺め、それらに共通する「慣習的な描画作法(あるいは一般的傾向)」を我々が抽出・整理したものである(インドの教本や描き手が描画規則をどこまで意識しているかは、今のところわからない)。

それゆえ、これらの規則に当てはまらないコーラム紋様は(紐タイプであれ)少なからず存在する。そもそも民俗紋様であるのだから、描き方は基本的に描き手の自由にまかされている。

したがって前述の7つの項目は、コーラム一般についての「不文律」ではなく、私がこの論考で扱う「コーラム紋様」の「定義」に近い。つまり、様々なコーラムの中でも紐タイプのコーラムを、その中でも特に、これらのルールに則って描かれたものだけを、今後の考察の対象にしますよ、ということだ。
随分都合のよい設定のように思われるかもしれないが、そうでもしないとあまりに多様で取っ掛かりがないから、これは仕方がない。分析というのは、まず定義と分類から始まるのである。

とはいえ、(1)正方格子上の配列点については、紐タイプを含むほぼ全種類のコーラム紋様に共通している。この配列点の秩序は、コーラムの思想的根本に関わる大原則と考えられる。
また、(3)(4)円環則(5)点の囲い込み(7)滑らかに描くについても、紐タイプコーラムにおいてはほとんど例外をみない。(2)双方格子からの逸脱は時折見られる程度。

であるからして、これらをもって「コーラムの描画規則」と言っても、おおむね間違いはなかろうと思うのである。


ただし、(6)一筆則については、これを満たさないもの(=一筆書きでないコーラム)がしばしばある。だからこれは「規則」に含めるのではなく、(紐タイプ)コーラムの中に、一筆で描けるものと、そうでないものがある、と分けて考えた方がよさそうである。

私たちは前者を「無限コーラム」、後者を「重合コーラム」と呼んでいる(これは浅野哲哉氏による命名)。


次回は、多様なパターンの生成システムについてそのうち書きます。

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■ 06年10月17日(火)

コーラム論…4/描画のルール2[柳沢究]

【コーラムの描画規則 2】

昨日のつづきです。

(3) 描線は閉じる(始点と終点が一致する)
(4) 一度描いた描線をなぞってはならない

これはわかりますね。描線は交わることはあっても、重なることなく元の場所に戻ってくる。
「円環則」とでも名付けましょうか。


(5) 描線が閉じた際に配列点の全てが描線によって囲まれる

こういうのはダメ、ということ。


(6) 一本の連続した描線によって描く

一筆で紋様全体を描ききりましょう、ということ。
ちなみに一筆ではないものには以下のような例があり、これはこれでなかなか綺麗なのである(どちらも3筆=描線が3本ある)。

 


(7) 描線は滑らかに描く

これは分かりにくいのですが、描線を描く時に直角に曲がったりしてはいけません、ということ。
この条件を外すと、たとえば下図左のものを、右のように描いて、一筆とすることができる。しかし、コーラムにおいてはそれは禁じ手である。下図左は「二つの描線がタスキがけになったもの」と見なすのである。


*****

コーラムの描画規則とは、ザッとこんなところである。
こう書き連ねてみると「なんやエラク複雑なルールやんけ」という印象だが、要は一筆で全部の点を囲むように描きなさい、ということである。慣れてしまえば実にシンプルなルールだ。
しかしルールは簡単でも即興でコーラムを描くのは、それほど容易ではない。

よろしければ以下の配列点を例に、上記7つの規則に従いながら、試しにコーラム紋様を描いてみてほしい。一筆で描ききるのが意外に難しいことを、分かってもらえるのではないかと思う。

(※緑の点線は規則(2)の図を重ねたもの。この点線をガイドに描いてみましょう)


また、明日につづく。

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■ 06年10月16日(月)

コーラム論…3/描画のルール1[柳沢究]

【コーラムの描画規則 1】

では、コーラムの描画法における規則性とはどのようなものか。
一目見て自明と思われるものも含め、確認してみましょう。


●構成要素
まずは、コーラム Kolam 紋様の構成要素とのその命名。


(1) 点の行列(図中の赤丸)
 …以下、個々のものを「点 point」、行列となった一群のものを「配列点 array of points」と呼ぶ

(2) 直線と円弧からなる線(図中の黒線)
 …以下、「描線 drawing line」と呼ぶ

構成要素はこの二つのみ。とってもシンプルですね。


●描画規則
次に、描画における規則について。規則は全部で7つあります。
これはちょっと長いですよ。頑張って憑いてきて下さいね。

(1) 点は正方格子[格子A]の交点上に配列する

配列の形は菱形とは限りません。3×3の正方行列になる場合もあれば、長方形や、三角形など自由です。


(2) 描線の直線部は格子Aから45度傾いた双対格子[格子B]に従って、描線の円弧部は最寄りの点を中心として、描く

 

図の緑点線上をなぞって、描線を描いてくださいということ。
これはインドの方でもよく間違えるところですから、注意が必要です。


以下、明日につづきます!

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■ 06年10月12日(木)

コーラム論…2/何故コーラムか[柳沢究]

【何故コーラムか】

前回は、いろいろあるコーラム紋様の中で、特に下図のような紐タイプのコーラムに注目するというところまで話をした(以後、単に「コーラム」といった場合は、この紐タイプのコーラム紋様を指す)。

kolam_sample.gif

この紐タイプに注目した理由として、他のタイプに比べ図形としての抽象度が非常に高いこと、円弧と直線のバランスが幾何学的に美しいことなどがあるが、最大のポイントはなんといっても、一筆書きとして描くことができるという点である。


コーラムは、浅野さんの美しいアニメーションを見てもらえばわかるように、かなりの規模と複雑性を備えている。このような複雑な紋様が一筆で描かれることにも驚くが、しかもその描き方は一見して明らかに何らかの規則に則っており、直線と円弧の組み合わせを微妙に変化させていくことによって、そこから無数の一筆書き紋様が生み出されうるのである。そのことに気付いた時、僕は非常な衝撃を受けた。

(一筆で描くことのできる美しい幾何模様には他に、五芒星ケルト紋様アラベスクなどがあるが、それらとの比較はまた別の機会に)

ある限られた要素が一定の(比較的簡単な)ルールに従って関係づけられることによって、複雑多様な形のバリエーションが生み出されるという、ヴァナキュラーな集落やイスラーム都市、あるいはDNAにも似た構図。それが、この南インドの紋様に内包されているのではないか、という直観である。しかもそのバリエーションは、一筆書き=円環という、無限の循環を象徴する全体性をも備えている。これはただ事ではない、と感じたのだ。

marrakech.jpg 


ちょっと興奮してきたので,あらためて整理する。僕がコーラムという紋様に注目するようになった理由は、主に以下の3点である。

(A) 描画法に規則性がある(らしい)こと、
(B) そこから無数のバリエーションが作られる(らしい)こと、
(C) しかもそれらが一筆書きであること。

したがって、さしあたっての考察の焦点は以下のようなものとなる。

(1) 描画の規則性とはどのようなものか、
(2) なぜそこから無数のバリエーションが生成されるのか、
(3) バリエーションにはどれほどの幅(数)が存在しうるのか、
(4) それらは図形としてどのような特質を備えているのか。


以下、つづくはず。

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■ 06年10月04日(水)

コーラム論…1/コーラムとは[柳沢究]

11月3日の開催を控えた紋様国際会議。ここで発表するコーラムに関する研究について、そろそろ問題意識、成果、課題等を整理していきたいと思っているのです。
というわけで唐突にコーラム連載開始。いつまで続くか知りませんが。


【コーラムKolamとは】

こちらをみてください…というわけにはいきませんが、僕が把握している限りでなるべく簡潔にまとめると、コーラムとは以下のようなものです。

・主として南インド各州(タミル・ナードゥ、ケララ、カルナータカ、アンドラプラデーシュなど)において見られる装飾紋様の一種である。

・「コーラムkolam」とは、そのような紋様を指すタミル・ナードゥ州における(タミル語の)呼称であり、他の州ではいろいろな呼び方がある(コーラムの他に一般的なのはランゴリRangoliというヒンディー語の呼称)。


kolamascher_12.jpg

・毎朝、主に玄関先(=境界部分)に米粉などの粉体を用いて描かれる。
(粉で描くため、風や雑踏により夕方には消えてしまうのである)

・描き手は、家庭内の女性成員、特に若い女性(娘やお嫁さん)である。
(秋野不矩による「朝の祈り(冒頭の画像)」は、まさにそのコーラムを描く女性を描いたもの)

・紋様の伝承は、各家庭において母から子あるいは嫁へと教授され継承されてきたものらしいが、その歴史的起源は定かではない。
(古く紀元前からという説もあるが、現在見られる図像が確認できるのはせいぜい19c頃までであり、比較的近代の風習であるというインドの研究者もいる。間接的なルーツとしてはおそらく古代インドの砂マンダラまで遡りうるであろう。近年では町の書店において様々なコーラム教本が販売されている。購買層は主に10代の女性であり、男が購入するとかなり怪訝な顔をされる)

・紋様のもつ機能/意味としては一般に、女神ラクシュミーLakshmi(吉祥天)に結びつけられた招福(happy come come)、あるいは魔除けのシンボルとして理解されている。


butterkol.jpg kolam1.jpg

・紋様の様式にはかなりの多様性があるが、大きく「具象的なもの」と「幾何学的なもの」の2種に分類することができる。前者は象、孔雀、壷、蓮花などの吉祥図像をモチーフとして用いて描かれ、後者は単純な直線や円弧・多角形の組み合わせとして描かれる。ただしどちらの場合でも、ある規則的に配列された「点」をガイドラインに描くことは、注目すべき共通点である。



このように一口にコーラムといっても、それが指す内容はかなりの広がりをもつのであるが、僕や共に研究をしている仲間達が注目しているのは、その中でもカンビKhambi(紐状の)・コーラムと呼ばれる上の図のようなタイプのものである。
その理由というか、この種のコーラムの魅力については、下のアニメーション(浅野哲哉氏による作)をじ〜っと眺めてもらえれば、何となく分かってもらえるのではないかと思うのですが。



以下、つづくと思う

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■ 06年05月26日(金)

伝統文化における紋様国際会議[柳沢究]

11月に大阪大学で開催される、第62回形の科学シンポジウムにて、世界に広く見られる一筆書き/紐状パターン・・・Kolam(南インド)、ケルト紋様(アイルランド)、SONA(アフリカ)、 水引・組み紐(日本)、宝結び紋(日本・中国・モンゴル・チベット)、アラベスク(中東)など・・・をテーマとした、研究交流の国際セッションが開催されます。

僕自身のコーラム研究(このところあまり進展していませんが)の成果も、この機会にあわせてまとめて発表する予定です。興味・関心のある方は、ぜひともご参加ください。

詳細は以下をご覧ください:
形の科学会
KASF(Katachi/Kolam/Knot Arts and Science Forum)
形の文化会
科学芸術学際研究所

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■ 06年01月12日(木)

水際のデザインー栗林公園2[柳沢究]

水際の処理がとても綺麗。
小さな庭でこうやっちゃうと作り物感が強くなりそうでどうかと思うが、このスケールだと風景が引き締まる感じがする。マングローブや葦原のような曖昧な水際もいいけど、こんなキリリとデザインされた水際も気持ちいい。

他に人工的な水際として印象的なのは、やはりヴァーラーナシーのガート。
季節により変動する川の水位にかかわらず、いつでも水面に到達できるように、階段状になっている。だから雨季に水量が増大すると、ガートの階段(時に岸にある建物までも)が、川に沈み込んでいくのだ。

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■ 05年12月16日(金)

「ぽちてっくてん」に酔う[柳沢究]

7日:
芸工大にて修士論文中間発表会。修論ほど、一つのことを考え、調べ、文章にすることにエネルギーを注げることは、多くの人にとってこの先そうある機会ではない。直接指導するわけではないが、頑張って欲しい。

8日:
INVERSIONの会場撤収。展示にはあれだけ苦労したのに、片づけは一瞬だ。早くも来年の日程を予約。一年先の予定なんか入ると、時間の流れが加速する気がする。

10日:
朝から下鴨の現場打ち合わせ。午後から「げのむ」編集打ち合わせ。なんか毎週土曜日はこのパターンが定着してきた。
久住左官の岡君に「親方泥棒」という称号をいただく。「おしゃれ泥棒」みたいだなと思ったが、ぜんぜん違う。なんでも僕が現場に行くと親方(久住氏)と話し込んで(時にはそのままどっかに行って)しまうので、困るんだそうな。いや、そんなこと言われても…。

現場と「げのむ」の合間を縫って、現在改装中の山崎さんの家を覗きに。
なつかしの柿渋の匂い充満してていい感じ。黒く古色された床と天井に漆喰の壁。照明こんなしたら、と無責任発言をしてたら「柳沢さんが入り浸りそうで…」と言われた。うーむ。

晩は若杉荘(=CDL事務所の名前。CDLで名付けたのではなく、もともとこの名前。昔学生の下宿だったかららしいが、なかなかに洒落た命名)にて「地区ビデオコンテスト」開催。
ぼろい木造の建物が傾くんじゃないかというくらいの人が集まり、18作品を上映。不完全双方向システムによる立体上映も試みられ、盛り上がった。

さらにその後、水谷邸で行われていたすき焼き会に合流するも、すでに肉(松坂牛)消滅。ネギと豆腐とキノコのみの晩飯。

11日:
晩にポチテックpotitekの個展「ぽちてっくてん」のパーティへお邪魔する。会場は工繊大出身の槌谷くんや半谷くんが自力改修した、東鞍馬口の町家「ヒガシクラマグチンチ」。
potitek、ぽちてっくてん、ヒガシクラマグチンチ…ネーミングセンスが抜群にいい。
アイリッシュフィドル(映画タイタニックに出てきたようなやつ)の演奏があったりして、戸田さんとこのパーティはいつも、和やかで洒落てて料理が美味しい。人柄なんだろうなぁ。京北でシェーカー家具を製作している方などとお話しし、いい気分で大いに酔っぱらう。

12日:
午前中ふたたび下鴨の現場へ。塗装の色確認など。午後、鴨川河川敷をうろつき、げのむの取材活動。寒くて話しかけづらい雰囲気。

13日:布野修司編の新刊「世界住居誌」が発売になった。僕も南アジアの概要解説や、インドの「ハヴェリ」の項、レクチャー「装飾と住居」などの執筆を担当しています(裏表紙には夏にいった王家大院の写真も載ってる)。これまでになかなか無かったタイプの本なので、興味のある方は是非お手に。

「装飾と住居」執筆の際、参考文献として(勝手に)お世話になった鶴岡真弓先生には、コーラム研究の関係で夏にお会いする機会があり、ケルト紋様の話をいろいろ伺った。僕がこんなこと言うのもなんなんだが、神秘的な雰囲気のするとても魅力的な方でした。

14〜16日:大学にて諸作業。16日夕方は御影にて打ち合わせ。

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