JOURNAL

■ 06年10月29日(日)

コーラム論…6/交差とすれ違い[柳沢究]

コーラムの描画規則をふまえた上で、そのバリエーションの生成システムについて考えてみたい。

まず最初に考えたのは、コーラムのパターンを何らかの記号や数値に置き換えることができないか、ということだ。前に示したように、コーラムの描線が通る道筋は下図のようにかなり限られている(この緑の点線を、描線の通りうる経路という意味で、仮に「仮定経路」と呼ぶことにする)。



そこで、この図をじっくり眺めていると、コーラムの様々なパターンというのは、この仮定経路の交点(斜行格子の交点)部分の形状が、「交差(2直線の直交)」となるか「すれ違い(背反する2円弧)」になるか、の組み合わせでできていることに気付いたのである。

例えば仮定経路の各交点の形状を下図のように、●を「交差」、○を「すれ違い」として設定してみると、

このようなパターンになるというわけだ。


ちなみに全てを「交差」にすると左図、すべてを「すれ違い」にすると右図のようになる。

 

※すれ違いの方向は可能性としては2種類ありえるのだが、前述の描画規則(2)によって必ず点を中心とするように定められていることに注意。


ある配列点が与えられた時、仮定経路は自動的に定まる。
交点の位置と数も同時に定まる
交点の形状は2つに1つである。

ということは、仮定経路の各交点に「交差=1」と「すれ違い=0」という具合に値を割り当てやれば、すべてのコーラムのパターンを二進数の数値で表現できるということである。
数値化できるということの有効性は、例えばコンピューターを用いた網羅的な分析が可能になるということであり、例えばナンバリングによるコーラム紋様のデータベースなんてものがつくれるということだ。これは我ながら重大な発見であったと思う


次回は、数値化の具体的プロセスについて。

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■ 06年10月28日(土)

近況とヤモリ[柳沢究]

論文に集中する、と宣言してからというもの、人に会うと「論文進んでる?」とよく聞かれるようになり、たいへんプレッシャーを感じるこの頃です。
目下逃避作業の傍ら、論文以外の仕事を片付けて身辺整理というか環境整備にエネルギーを注いでいます。こんな時に限って設計や講師の話があるのも困ったものです。いや、とってもありがたいんですが。引き受けたい誘惑と激しく戦いながらも、別の方を紹介させてもらいました。
今月後半は、科研費の申請書類とSSSの報告書とコーラムの英語論文の執筆が同時に重なってやってきて、ヒーヒー。コーラムの方はまだ終わってません。提出は金曜日朝です。プレゼンのスライドも作らねばなりません。

その一方で、20日の竹中大工道具館での研究会、21日にスフェラであった永山さんの講演会、22日の稲岡君の神楽岡スライド会など、いろいろな方に会い刺激をたくさんもらっています。なかなかここには書けていませんが。


そんななか心温まる出来事としては我が家にヤモリちゃんが初登場したことでしょうか。パスタを作ろうと鍋を手に取ると、中に小さなヤモリの子っこがいました。どこから入り込んだのかわかりませんが、ステンレスの鍋は滑りがよいため吸盤がくっつかず、脱出不能になっていたようです。もう少し発見が遅ければヤモリの干物ができていたことでしょう。気付かずにそのまま湯を沸かしていたら、茹でヤモリのパスタができあがったことでしょう。よかったです。

鍋の色に合わせて、やや灰褐色の保護色になっています。尻尾をふくめた体長7cmほど。

ヤモリちゃん愛好家は世界に多いようで、こんな動画がありました(ある愛し合うヤモリの悲劇)。

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■ 06年10月27日(金)

スライド会とSSS報告書[柳沢究]

22日:
ホームページから相談のあった内装の仕事の件で、畑中さんとともにお店へ伺い初顔合わせ。今度はロシア関連です。神楽岡にコンタクトをとってくださる方は、インターナショナルな方が多い。晩、神楽岡での恒例スライド会。稲岡氏によるインド、ルーマニア等でのアートインレジデンス体験について。初参加の方が結構多かった。アートイン…は、一昔前のパブリックアート行政のような町おこし的要素が強いのかと勝手な想像を抱いていたが、インドの事例ではアートと「町の住民」との関わりのあり方を真摯に捉え直そうとしている姿勢が感動的ですらあった。

23-24日:
SSSの報告書担当分に着手するも、大学での諸業務で時間が細切れになり、進展せず。行き帰りの電車の中では某本の原稿校正をしているが、酔うのであまりよろしくない。

25日:
大学院にて博士論文予備発表会。自分の論文に引きつけて聞く。岡部憲明先生の空港研究は迫力があった。

26-27日:
SSS報告書にようやく本格的に時間をとる。たった2ページなのだが、この間やってきたことを系統だてて整理するのはなかなか骨が折れる。勉強勉強と念じながら作業を進める。結局図版作製で丸1日かかってしまった。27日晩は、久々の助手会。報告書が終わってたら朝までコースだったけど、やむなく終電で帰京。寝過ごして山科まで行きタクシーで家まで。

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■ 06年10月26日(木)

秋の遠足・シガテラツアー[柳沢究]

恒例企画「秋の遠足」の案内をWhat' NEWに掲載しました。
初めての方も気軽に参加してください。申込みは11日までとなっています。

秋は去年一昨年とも奈良に行き、今年は「Deepest South NARA」と題して、吉野をめざす予定だったのですが、時間的に厳しそうなの(と寒そうなの)で、残念断念。
そこで今回は思い切って近場の滋賀に目を向けましたが、いざ候補地を上げてみると、なんとも見所盛り沢山で驚きました。ほんとはグルリと琵琶湖を一周したいところですが、今回は大津近辺と湖東に限定することに。それでも結構なスポットがあって、さらに絞らねばなりません。

●現在の欲張りラインナップ
・近江神宮…近代神社建築の最高峰の一つ。設計:角南隆
・園城寺・勧学院客殿/光浄院客殿…通常非公開。これははずせない。
・希望が丘青年の城…何だかもの凄く格好よさそうなメタボリズム建築。はたして。
・かわらミュージアム…瓦はかなり興味津々。設計:出江寛
・湖東三山(西明寺、金剛輪寺、百済寺)…あまり有名でないが滋賀の名刹。これもはずせない。織田信長の焼き討ちにあう以前、湖東には数百の寺が集まっていたという。
・近江八幡の街並み…京都在住にしてまだ一度も行ったことがない。

さて、どうしましょうか。

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■ 06年10月21日(土)

科研費申請と研究会、永山さん[柳沢究]

18日:科研費申請書の学内〆切だったのだが徹夜して、

19日:朝、申請書を1日遅れで仮提出。11月末の大学院作品展関連の準備や打ち合わせでアタフタして、夕方に湊川であった神戸ビエンナーレのプレイベントに顔出すも眠すぎて途中退席。

20日:
午前中休んで、午後から竹中大工道具館の研究会へ。発表者の清水郁郎さんは京大アジ研以来の数年振り。タイ、ビルマ・ラオス国境のゴールデントライアングル地帯に住み込み調査をしていたというから驚く。フィールドから久しく遠く離れた我が身を省みる。
終了後の懇親会はとても楽しく刺激的。学問的な議論の場に身を置く機会を意識的につくらねばならない。帰りの阪急で寝過ごして気付いたら梅田行き列車に乗っていた。慌てて桂で降りる。

21日:
SSSの報告書、コーラムの英語論文をやらねばと思いつつも進展せず悶々。
晩、スフェラで行われた永山祐子さんの講演会へ。「家の中には誰も入れないような場所をつくりたい」という話に共感。語り口はほんわかしていながら、あきれるほど明晰な設計プロセスに唸る。しなやかな剛腕という印象。アイディアのネタ本(?)の紹介などもあり。
懇親会でボンサイストの川崎仁実さん、馬場さんらとご一緒。布野研の後輩・柳室君にも久々。スイスに行っていたとか。途中からシコウ君も合流。岡山、京都、東京を行ったり来たりで、なんともアクティブ。森田氏は明日早朝からポルトガルへ出発だが荷造りはまだとか。

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■ 06年10月20日(金)

今出川界隈はまさに大・学生街[井上大藏]

06年10月14日(土)付けの柳沢氏の文章、「今出川界隈はまさに大・学生街」について少し補足を。

実はあの辺りに大学が集中したのは、京都御苑との関係が深い。大学個々にその動向を記せば、明快なのだが、少々包括的に話をさせていただく事にしよう。
明治維新によって、京都御所の「お上」(天皇の事)が東京へ赴かれると、御所近辺に集住していた公家衆も従って去っていった。主人の居なくなった公家の屋敷を利用して、博物館や学校が設立される。同時に使わない空き家は物騒なので整理事業が開始される。この整理事業が、現在の京都御苑の形成へとつながっていく。

一方、整理事業の経過で屋敷利用の博物館が消え、学校も立ち退く事になっていく。立ち退き先として目をつけたのが、宮家や大名の下屋敷である。下屋敷とはいえ相当の広さを持つし、有力宮家や雄藩ほど御苑に隣接乃至は近郊地に存在しており移転に便利である。また、当時の学校創始者は、東京の薩長族高官との関連が事の外深く、同じ薩長族の京都府知事からも優遇されての場所選定であった。これらの要因から、大学の集中へと繋がっていく。

実は、私の母校(京都府立鴨沂高等学校)も公家の九条家の邸内で産声をあげている。その後、移転するが現在も通りを隔てた「お向かい」が京都御苑である。ちなみに、高校正門と茶室が九条家のものとして現在も伝わっている。

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■ 06年10月18日(水)

コーラム論…5/描画のルール3[柳沢究]

【コーラムの描画規則 3】

前回、前々回と、7つの描画規則を紹介してきたが、ここであらためて補足というか注記しておきたい。

これら7つの規則は、南インドの道ばたで見られるコーラムや、販売されている教本などの多数のサンプルを眺め、それらに共通する「慣習的な描画作法(あるいは一般的傾向)」を我々が抽出・整理したものである(インドの教本や描き手が描画規則をどこまで意識しているかは、今のところわからない)。

それゆえ、これらの規則に当てはまらないコーラム紋様は(紐タイプであれ)少なからず存在する。そもそも民俗紋様であるのだから、描き方は基本的に描き手の自由にまかされている。

したがって前述の7つの項目は、コーラム一般についての「不文律」ではなく、私がこの論考で扱う「コーラム紋様」の「定義」に近い。つまり、様々なコーラムの中でも紐タイプのコーラムを、その中でも特に、これらのルールに則って描かれたものだけを、今後の考察の対象にしますよ、ということだ。
随分都合のよい設定のように思われるかもしれないが、そうでもしないとあまりに多様で取っ掛かりがないから、これは仕方がない。分析というのは、まず定義と分類から始まるのである。

とはいえ、(1)正方格子上の配列点については、紐タイプを含むほぼ全種類のコーラム紋様に共通している。この配列点の秩序は、コーラムの思想的根本に関わる大原則と考えられる。
また、(3)(4)円環則(5)点の囲い込み(7)滑らかに描くについても、紐タイプコーラムにおいてはほとんど例外をみない。(2)双方格子からの逸脱は時折見られる程度。

であるからして、これらをもって「コーラムの描画規則」と言っても、おおむね間違いはなかろうと思うのである。


ただし、(6)一筆則については、これを満たさないもの(=一筆書きでないコーラム)がしばしばある。だからこれは「規則」に含めるのではなく、(紐タイプ)コーラムの中に、一筆で描けるものと、そうでないものがある、と分けて考えた方がよさそうである。

私たちは前者を「無限コーラム」、後者を「重合コーラム」と呼んでいる(これは浅野哲哉氏による命名)。


次回は、多様なパターンの生成システムについてそのうち書きます。

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■ 06年10月17日(火)

コーラム論…4/描画のルール2[柳沢究]

【コーラムの描画規則 2】

昨日のつづきです。

(3) 描線は閉じる(始点と終点が一致する)
(4) 一度描いた描線をなぞってはならない

これはわかりますね。描線は交わることはあっても、重なることなく元の場所に戻ってくる。
「円環則」とでも名付けましょうか。


(5) 描線が閉じた際に配列点の全てが描線によって囲まれる

こういうのはダメ、ということ。


(6) 一本の連続した描線によって描く

一筆で紋様全体を描ききりましょう、ということ。
ちなみに一筆ではないものには以下のような例があり、これはこれでなかなか綺麗なのである(どちらも3筆=描線が3本ある)。

 


(7) 描線は滑らかに描く

これは分かりにくいのですが、描線を描く時に直角に曲がったりしてはいけません、ということ。
この条件を外すと、たとえば下図左のものを、右のように描いて、一筆とすることができる。しかし、コーラムにおいてはそれは禁じ手である。下図左は「二つの描線がタスキがけになったもの」と見なすのである。


*****

コーラムの描画規則とは、ザッとこんなところである。
こう書き連ねてみると「なんやエラク複雑なルールやんけ」という印象だが、要は一筆で全部の点を囲むように描きなさい、ということである。慣れてしまえば実にシンプルなルールだ。
しかしルールは簡単でも即興でコーラムを描くのは、それほど容易ではない。

よろしければ以下の配列点を例に、上記7つの規則に従いながら、試しにコーラム紋様を描いてみてほしい。一筆で描ききるのが意外に難しいことを、分かってもらえるのではないかと思う。

(※緑の点線は規則(2)の図を重ねたもの。この点線をガイドに描いてみましょう)


また、明日につづく。

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■ 06年10月16日(月)

コーラム論…3/描画のルール1[柳沢究]

【コーラムの描画規則 1】

では、コーラムの描画法における規則性とはどのようなものか。
一目見て自明と思われるものも含め、確認してみましょう。


●構成要素
まずは、コーラム Kolam 紋様の構成要素とのその命名。


(1) 点の行列(図中の赤丸)
 …以下、個々のものを「点 point」、行列となった一群のものを「配列点 array of points」と呼ぶ

(2) 直線と円弧からなる線(図中の黒線)
 …以下、「描線 drawing line」と呼ぶ

構成要素はこの二つのみ。とってもシンプルですね。


●描画規則
次に、描画における規則について。規則は全部で7つあります。
これはちょっと長いですよ。頑張って憑いてきて下さいね。

(1) 点は正方格子[格子A]の交点上に配列する

配列の形は菱形とは限りません。3×3の正方行列になる場合もあれば、長方形や、三角形など自由です。


(2) 描線の直線部は格子Aから45度傾いた双対格子[格子B]に従って、描線の円弧部は最寄りの点を中心として、描く

 

図の緑点線上をなぞって、描線を描いてくださいということ。
これはインドの方でもよく間違えるところですから、注意が必要です。


以下、明日につづきます!

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■ 06年10月15日(日)

栗原邸(旧鶴巻邸)・その2[柳沢究]

旧鶴巻邸の屋上には、こんな干からびた方がいました。

 

尻尾が切れているので最初はトカゲかな、と思いましたが、このふくよかなお腹と首のくびれ、指の感じからするとヤモリちゃんに間違いない。私はヤモリが大好きです。
カメラのホワイトバランスを間違えて電球仕様に設定していたため、妙に幻想的な写真になりました。
(※ は虫類が嫌いな人は注意→トカゲヤモリの比較)

ひょっとしたら次回の公開(10/28)にも、まだ居るかもしれません。
階段から屋上に出たすぐの足下です。踏みつぶさないように注意。

前の道にはカタツムリのなる木がありました。一本の木に数え切れないほどのマイマイがうじゃうじゃと。樹液を吸っているのか、木の節のあたりにへばりついているので、幹の一部かと間違えそうになるます。久々に蝸牛を見たなぁ。

そんな自然豊かな(?)場所にある旧鶴巻邸、次の特別公開は10月28日(要・申込み)です。

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■ 06年10月14日(土)

栗原邸(旧鶴巻邸)・その1[柳沢究]

10日の井上さんの案内にもあった、近代化遺産の全国一斉公開の一環である「栗原邸(旧鶴巻邸)」の一般公開に行ってきました(10月7日)。
設計は本野精吾、1929年竣工(サヴォア邸と同年)。
「中村鎮式コンクリートブロック」と呼ばれるL字形のブロックを組み上げ、その中にコンクリートを充填するという構法でつくられている。外観は装飾も少なく、一見ごく普通のコンクリートブロック造に見えるが、藤森照信によれば、コンクリートをそのまま見せて仕上げに用いた建築としては世界的にみても最も初期の部類に入るものとのこと。

.1  .2 

1. アプローチ。写真がうまく撮れなかったけれど、前庭とアプローチがとてもよい。砂利敷きの上に点々と植物が生え、庭木をかいくぐるようにして、ポーチに到達。

2. 外観のアクセントとなる玄関ポーチ。ビシャンで仕上げられたコンクリートの円柱は大理石にも負けてないぞ。

.3  .4

3. 写真.2の中。室内の天井から連続する薄い庇、網戸のはいったスチール・サッシュ、雨上がりの陽が差し込む室内。とてもモダーンな雰囲気。
ただし、この部屋の窓を除けば内部はかなり古典的な雰囲気。インテリアはかなり傷んではいるもののほとんど改装がされておらず、往年の雰囲気がほぼそのまま残っていると思われる。しかし戦後、進駐軍にしばらく接収されていたらしく、台所や洗面所は汚くにペンキで塗られていたりする。うーんアメリカ人はペンキ好きだなぁ。

4. 開口部まわり、戸袋のディテール。


少し不思議に感じたのは、京都高等工芸学校(現・京都工繊大)の学長であったという施主が、1929(昭和4)年という時期に、疎水沿いとはいえ何故こんな奥まった不便な(失礼!)敷地を選んだのかという点。当時であれば、市街周辺にはまだまだ土地が残っていただろうに。山科から松ヶ崎は結構遠いぞ。車で通ってたのかな。

・・・というようなことを考えながら、でも当時は松ヶ崎ではなかったのかもしれないぞ、と思い調べてみたら、昭和5年まで京都高等工芸学校は左京区吉田、京大の西側にあったらしい。(「当時、京大と高等工芸の間は狭い道で、その上を樹がうっそうと繁って、昼でも薄暗い所であった」という。この「狭い道」とは現・東大路通り)。
しかも、さらにその西には京都市立美術工芸学校(現・京都市立芸大)があったとは知らなかった。立命館も寺町広小路(現在の京都府立医大の場所)にあったのだから、寺町今出川の同志社とあわせれば、今出川界隈はまさに大・学生街だったというわけだ。うーむ。

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■ 06年10月12日(木)

コーラム論…2/何故コーラムか[柳沢究]

【何故コーラムか】

前回は、いろいろあるコーラム紋様の中で、特に下図のような紐タイプのコーラムに注目するというところまで話をした(以後、単に「コーラム」といった場合は、この紐タイプのコーラム紋様を指す)。

kolam_sample.gif

この紐タイプに注目した理由として、他のタイプに比べ図形としての抽象度が非常に高いこと、円弧と直線のバランスが幾何学的に美しいことなどがあるが、最大のポイントはなんといっても、一筆書きとして描くことができるという点である。


コーラムは、浅野さんの美しいアニメーションを見てもらえばわかるように、かなりの規模と複雑性を備えている。このような複雑な紋様が一筆で描かれることにも驚くが、しかもその描き方は一見して明らかに何らかの規則に則っており、直線と円弧の組み合わせを微妙に変化させていくことによって、そこから無数の一筆書き紋様が生み出されうるのである。そのことに気付いた時、僕は非常な衝撃を受けた。

(一筆で描くことのできる美しい幾何模様には他に、五芒星ケルト紋様アラベスクなどがあるが、それらとの比較はまた別の機会に)

ある限られた要素が一定の(比較的簡単な)ルールに従って関係づけられることによって、複雑多様な形のバリエーションが生み出されるという、ヴァナキュラーな集落やイスラーム都市、あるいはDNAにも似た構図。それが、この南インドの紋様に内包されているのではないか、という直観である。しかもそのバリエーションは、一筆書き=円環という、無限の循環を象徴する全体性をも備えている。これはただ事ではない、と感じたのだ。

marrakech.jpg 


ちょっと興奮してきたので,あらためて整理する。僕がコーラムという紋様に注目するようになった理由は、主に以下の3点である。

(A) 描画法に規則性がある(らしい)こと、
(B) そこから無数のバリエーションが作られる(らしい)こと、
(C) しかもそれらが一筆書きであること。

したがって、さしあたっての考察の焦点は以下のようなものとなる。

(1) 描画の規則性とはどのようなものか、
(2) なぜそこから無数のバリエーションが生成されるのか、
(3) バリエーションにはどれほどの幅(数)が存在しうるのか、
(4) それらは図形としてどのような特質を備えているのか。


以下、つづくはず。

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■ 06年10月10日(火)

近代化遺産の全国一斉公開[井上大藏]

井上です。10月20日は、「近代化遺産の日」だそうです。ご存知でしたか?私は知りませんでした。その日の前後に、全国の近代化遺産の一斉公開が計画されています。場所によっては、既に始まってますね。ホントに数多くの場所で開催されていますので、お気軽に訪問されてはいかがでしょう。少々寒いけど、秋なので美味しい物目当てに出向きつつ訪れるのも一興だと思いますョ。

詳しくは、下記HPまで。
近代化遺産全国一斉公開2006

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■ 06年10月09日(月)

10/22のスライド会について[柳沢究]

 

たそがれは風を止めてちぎれた雲がまた一つになるような、すっかり秋の気配の京都ですが、いかがお過ごしでしょうか。

気がつけば早いもので、次回22日のスライド会は今年最後のスライド会となってしまいました。
(11月は恒例の秋の遠足、12月は忘年会)

今回の講師・稲岡稔氏は、京都工業繊維大学建築学科在学中にパリ・ラ・ヴィレット建築大学に留学し、卒業後は個性派ものづくり集団・三角屋にて勤務しつつ、各国でアート制作活動を行ったりと幅広く活躍されている方です。

スライド会では、アーティスト・イン・レジデンスで滞在したインド、ルーマニアでの日々を振り返り、自身のインスタレーション作品や制作の周辺状況、現地の現代アート事情などについてお話いただきます。

>> 詳細はWhat's NEWをご覧下さい。

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■ 06年10月04日(水)

コーラム論…1/コーラムとは[柳沢究]

11月3日の開催を控えた紋様国際会議。ここで発表するコーラムに関する研究について、そろそろ問題意識、成果、課題等を整理していきたいと思っているのです。
というわけで唐突にコーラム連載開始。いつまで続くか知りませんが。


【コーラムKolamとは】

こちらをみてください…というわけにはいきませんが、僕が把握している限りでなるべく簡潔にまとめると、コーラムとは以下のようなものです。

・主として南インド各州(タミル・ナードゥ、ケララ、カルナータカ、アンドラプラデーシュなど)において見られる装飾紋様の一種である。

・「コーラムkolam」とは、そのような紋様を指すタミル・ナードゥ州における(タミル語の)呼称であり、他の州ではいろいろな呼び方がある(コーラムの他に一般的なのはランゴリRangoliというヒンディー語の呼称)。


kolamascher_12.jpg

・毎朝、主に玄関先(=境界部分)に米粉などの粉体を用いて描かれる。
(粉で描くため、風や雑踏により夕方には消えてしまうのである)

・描き手は、家庭内の女性成員、特に若い女性(娘やお嫁さん)である。
(秋野不矩による「朝の祈り(冒頭の画像)」は、まさにそのコーラムを描く女性を描いたもの)

・紋様の伝承は、各家庭において母から子あるいは嫁へと教授され継承されてきたものらしいが、その歴史的起源は定かではない。
(古く紀元前からという説もあるが、現在見られる図像が確認できるのはせいぜい19c頃までであり、比較的近代の風習であるというインドの研究者もいる。間接的なルーツとしてはおそらく古代インドの砂マンダラまで遡りうるであろう。近年では町の書店において様々なコーラム教本が販売されている。購買層は主に10代の女性であり、男が購入するとかなり怪訝な顔をされる)

・紋様のもつ機能/意味としては一般に、女神ラクシュミーLakshmi(吉祥天)に結びつけられた招福(happy come come)、あるいは魔除けのシンボルとして理解されている。


butterkol.jpg kolam1.jpg

・紋様の様式にはかなりの多様性があるが、大きく「具象的なもの」と「幾何学的なもの」の2種に分類することができる。前者は象、孔雀、壷、蓮花などの吉祥図像をモチーフとして用いて描かれ、後者は単純な直線や円弧・多角形の組み合わせとして描かれる。ただしどちらの場合でも、ある規則的に配列された「点」をガイドラインに描くことは、注目すべき共通点である。



このように一口にコーラムといっても、それが指す内容はかなりの広がりをもつのであるが、僕や共に研究をしている仲間達が注目しているのは、その中でもカンビKhambi(紐状の)・コーラムと呼ばれる上の図のようなタイプのものである。
その理由というか、この種のコーラムの魅力については、下のアニメーション(浅野哲哉氏による作)をじ〜っと眺めてもらえれば、何となく分かってもらえるのではないかと思うのですが。



以下、つづくと思う

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■ 06年10月03日(火)

論文副作用[柳沢究]

ついに10月から論文執筆を生活の「中心」にすえることを決意したのであるが、そうと決めた途端、それ以外の仕事ばかりが異様にはかどりだすのは、いつものことながら、困ったものである。このJOURNALがいきなり更新されたのもまた、その余波に他ならない。しばらく後にまたも更新が途絶えたなら、ああ論文に集中し始めたんだなと温かく見守って頂ければ幸いである。
とりあえず昨日は机の上を論文仕様に片付け、今日は参考文献を脇に平積みにした。明日はそのページを開くはずである。
文献を横目に、大学の諸業務をしつつ、コーラムの国際会議の件であちこちにメールを送り、SSSの開口部まわりの大見積もりを仕上げ、科研費(!)の申請説明会に出席していたら、休憩を一度も入れないままあっという間に晩。
論文逃避作用による諸業務能率化の効力は、実に端倪すべからざるものがある。

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■ 06年10月02日(月)

SSS 施工実験(おばQ)[柳沢究]

施工実験体のその後の様子。

 

なんかウォーズマンというかメットというか、
一番しっくりくるのは、おばQ。

とりあえず、しっかりとは建っています。

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