JOURNAL

■ 06年10月04日(水)

コーラム論…1/コーラムとは[柳沢究]

11月3日の開催を控えた紋様国際会議。ここで発表するコーラムに関する研究について、そろそろ問題意識、成果、課題等を整理していきたいと思っているのです。
というわけで唐突にコーラム連載開始。いつまで続くか知りませんが。


【コーラムKolamとは】

こちらをみてください…というわけにはいきませんが、僕が把握している限りでなるべく簡潔にまとめると、コーラムとは以下のようなものです。

・主として南インド各州(タミル・ナードゥ、ケララ、カルナータカ、アンドラプラデーシュなど)において見られる装飾紋様の一種である。

・「コーラムkolam」とは、そのような紋様を指すタミル・ナードゥ州における(タミル語の)呼称であり、他の州ではいろいろな呼び方がある(コーラムの他に一般的なのはランゴリRangoliというヒンディー語の呼称)。


kolamascher_12.jpg

・毎朝、主に玄関先(=境界部分)に米粉などの粉体を用いて描かれる。
(粉で描くため、風や雑踏により夕方には消えてしまうのである)

・描き手は、家庭内の女性成員、特に若い女性(娘やお嫁さん)である。
(秋野不矩による「朝の祈り(冒頭の画像)」は、まさにそのコーラムを描く女性を描いたもの)

・紋様の伝承は、各家庭において母から子あるいは嫁へと教授され継承されてきたものらしいが、その歴史的起源は定かではない。
(古く紀元前からという説もあるが、現在見られる図像が確認できるのはせいぜい19c頃までであり、比較的近代の風習であるというインドの研究者もいる。間接的なルーツとしてはおそらく古代インドの砂マンダラまで遡りうるであろう。近年では町の書店において様々なコーラム教本が販売されている。購買層は主に10代の女性であり、男が購入するとかなり怪訝な顔をされる)

・紋様のもつ機能/意味としては一般に、女神ラクシュミーLakshmi(吉祥天)に結びつけられた招福(happy come come)、あるいは魔除けのシンボルとして理解されている。


butterkol.jpg kolam1.jpg

・紋様の様式にはかなりの多様性があるが、大きく「具象的なもの」と「幾何学的なもの」の2種に分類することができる。前者は象、孔雀、壷、蓮花などの吉祥図像をモチーフとして用いて描かれ、後者は単純な直線や円弧・多角形の組み合わせとして描かれる。ただしどちらの場合でも、ある規則的に配列された「点」をガイドラインに描くことは、注目すべき共通点である。



このように一口にコーラムといっても、それが指す内容はかなりの広がりをもつのであるが、僕や共に研究をしている仲間達が注目しているのは、その中でもカンビKhambi(紐状の)・コーラムと呼ばれる上の図のようなタイプのものである。
その理由というか、この種のコーラムの魅力については、下のアニメーション(浅野哲哉氏による作)をじ〜っと眺めてもらえれば、何となく分かってもらえるのではないかと思うのですが。



以下、つづくと思う


| 柳沢究, インド | PermaLink | comments (1) | trackbacks (1) |

コメント

皆さんのご協力で盛大?に国際会議を開いたのは 一年前になりますね 今(07.11.1) この解説は良くまとめてあります

(冒頭の画像)秋野不矩による「朝の祈り」。この写真は
どこかで見たと調べたら、Prof.MarciaAscherから頂いたTheKolamTradtion、MaericanScietist,Vol.90のFig.1
そのものでした このクレジットには(Photo cortesy of K.L.Kamat.)とあります 二人(?)の関係は?

| KASF 紋様国際交流会議 長田 | 2007/11/01 09:39 |

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