JOURNAL

■ 08年08月07日(木)

土嚢建築のマンダラ[柳沢究]

スライド会再会第二弾(暑さ対策として、急遽近所の氷屋さんに頼み氷柱を導入!)、渡辺菊眞氏による「土嚢から建築へ」のスライド会は、流麗かつ怒濤・特濃、「立て板に土石流」という感じの2時間でした。

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スライド会の様子


土嚢シェルター開発者(カリーリNader Khaliliというイラン系アメリカ人建築家)のアイディアとその限界性について評価を加えながら、8年にわたる土嚢建築の試み、さらなる建築的展開への構想を、惜しみなく披露していただきました。また、技術面を担われた天理の河口さんによる試行錯誤の話は、現場の中で技術が育っていく様が生き生きと感じられるものでした。
(土嚢建築の写真などは、Dのサイトでたっぷり見ることができます)

渡辺菊眞氏は僕にとっては、布野研の先輩であり、また京都CDLの運営委員長として、僕の建築に対する考え方に、とても大きな影響を及ぼしてくれた方です。
(以下、不遜を承知で書きますが、)渡辺菊眞氏の建築が発する迫力は、独特の造形言語はもとより、恐るべき稠密さで構造化された空間構成によるところが大きく、さらにその空間構成の徹底ぶりは、「建築の中にマンダラを内蔵させることが自分の職能だ」と自ら断言するように、建築空間を宇宙的秩序(あるいはもう少し身近な言葉で言えば、「認識のレベルが一段上がった場所」)へ接続する回路として実現しようとする、強固な意志に基づいています。(マンダラとは、端的にいえば「宇宙的秩序と人間との媒介装置」であるから、その意味では「建築をマンダラ化する」と言い換えてもいいと思う。そう言ってたかも)。
このような考え方自体は古くからある建築観でもあるし、僕も大いに「共感」もし「憧れ」もするのですが、実践するのはなかなかに難しいこと。
渡辺菊眞氏のすごいのは、この信念というか姿勢というか立脚点が、活動に具体的に活かされつつ、かつほんとうにブレるところがない点です(時々に変奏はあるようですが)。
足下いまだおぼつかない僕なんかは、それを見るといつも、頭が下がるやら背筋がのびるやらの思いで一杯になるのです。


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冷房用の氷柱と門藤氏

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