JOURNAL

■ 06年02月11日(土)

右回り/左回り[柳沢究]

先週3日に高木先生と話していた時、「左回り/右回り」の話になった。

ヒンドゥー教や仏教の巡礼や参拝は、必ず右回り(進行方向に対し右が中心に向くという意味。=右肩回り、時計回り)で行うものとされている。ヴァーラーナシーの巡礼路も四国のお遍路もチベットのマニ車も、みんな右回りである。では何故「右回り」なのか?

諸文化には、たいてい「左/右の優位性」問題があるのだが、おおむね右を優勢(=尊、浄、善)とするところが多い。「人種を問わず右利きが多い」というのは、どうやら統計的に事実らしいので、これが理由であろうかとも思う。しかし、生理的制約や身体の機能性といった観点からすれば、格別右利きが優越である根拠はないそうで、右利きが多いのは実は社会的に矯正・固定された結果という指摘がある(例えば猿の左右の利き腕の差異はかなり流動的という)。ともあれ、人間には「右」を好む文化的傾向が何となくあるようなのだが、興味深いのはRing-Wandering(【独】Ringwanderung)という現象。

Ring-Wanderingとは、目印が何もないところを歩いていると、人間は自然に左回りの弧を描き、最終的に同じ箇所を円環状に巡るという行動現象をいう(たとえば夜に吹雪で視界のきかない原っぱで道に迷った人は、まっすぐ歩いてるつもりがグルグル回っていて、ついに力尽きてしまうというようなこと)。利き足でない方(=左足)が軸になりやすいからとか(陸上のトラックはこの理屈で左回り)、左側にある心臓を内側にするためとかいう説があり、確定的な理由は知らないけれど、人間は身体的には左回りする傾向がある、と考えていいようだ。
ちなみにコリオリの力を受けて北半球で発生する台風や渦が左回りになることとは、ほとんど関係ないらしい(運動速度が小さすぎるからか)。

では宗教儀式などに際して、左回りと右回りどちらの動きが、よりふさわしいということになるんだろう。
左回りが生物として「自然」な動きであるとすれば、右回りに動く事にある種の神秘的な価値を見いだしたのは、人間としてとっても「自然」なことのように思われるのだが。

ところでメッカのカーバ神殿の礼拝は左回りだそうです。
(オチもマトメもないです。すいません)


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