JOURNAL

■ 05年12月18日(日)

追記:研究者の仁義?[柳沢究]

16日の昼間、大学の部屋に畑中久美子さん来訪。1時間ほど話す。

彼女は友人の山本喜美恵さん(なんと来年から滋賀県大・布野研の研究生になるという!!いやはや…)と一緒に、先月までパキスタンの地震復興調査へ行っていた。現地での体験は刺激的だったようだが、思ったよりも普通に生活できたとのこと。現地滞在中に支援する日本側の姿勢が変更になり困ったというが、さもありなん。ほんの少ししか聞けなかったので、またこんど、新年の餅つきの時にでも緊急の報告スライド会をやってもらおうかな。

畑中さんの専門はいわずとしれた「版築」である。版築は最近だいぶん注目されてきて、いろいろ試みている建築家も多いが、彼女は修士研究の頃から取り組んでおり、自ら施工までする荒行をおこなうなど、少なくともデザイン分野ではかなり先駆的な存在だ。
しかし、今年行われたコンペの受賞作に(神楽岡の?)HPに載せている版築作業写真が無断使用されたことが、悩みの種になっているという。
出品者はコンペ前に神戸まで話を聞きに来たので、畑中さんは版築普及になればと自分の研究について親切に解説し、研究報告書もわたした。
しかし秋の発表時には畑中さんの研究にはまったく言及されず、しかもというかそのうえ現地で配布された解説のパンフには報告書の文章が無断で盗用されていたという。抗議しても要領を得ず、たいへん悲しい、と。

人の研究成果を利用するのは、ぜんぜん悪いことではない。むしろドンドン利用して然るべきことなんだが、その場合、どこまでが先行の研究・成果を踏まえたものなのか、どこからが自分のオリジナルなのかを明確に示すことが最低限のルール(特に取り組んでいる人間のまだ少ない萌芽的分野においてはコトサラ)。
人に自分の研究のことを尋ねられて、出し惜しみする研究者はいない。自分だっていろいろな人から教わりながらやってきたんだから。だからこそ、通すべき仁義は通さなければならないはずなのだ。


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