本研究の目的は、古来から伝わる版築工法を用いて土の実験居室を計画し、セルフビルドでの建設、性能測定を通して、現代における建築素材としての土の可能性を探ることである。 ワークショップ形式での版築造実験居室建設を通して、施工性、精度や施工管理について検証した。 さらに建設後の室内環境測定やシミュレーションにより、居住性能としての熱環境の面からも検証を行い、夏期においては夜間換気を行なうことで、室温は常に外気温より低くおさえられるという結果が得られた。 版築をセルフビルドでつくることによる達成感と愛着は大きい。 現代において、このような建築スタイルにも価値があり、必要とされていることが感じられた。 |
■ 研究の方法 本研究を行うにあたって、神戸芸術工科大学大学院の講義の一環と共同し、大学院生5名が加わった形で研究を進めた。 版築造実験居室は、神戸芸術工科大学の構内に敷地を選定し、計画、セルフビルドでの建設を行なった。 計画段階においては、セルフビルドで建設をおこなえるように実験居室の設計、型枠の設計、強度試験を元にした土の配合計画、施工の計画、道具の準備を行った。 建設後は、実験居室の経過観察や宿泊体験を行うと共に、夏期における実験居室内の熱環境実測実験をすることで実用面に関して分析を行なっている。 ■ 敷地と計画 |
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■ 型枠の設計
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■ 版築の道具
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■ 配合計画・圧縮強度実験
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■ 施工風景
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■ 完成
延べ日数:86日 ◎ 延べ人数:374人 |