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裏原宿にある家具屋さん。
セジマ作品としてはほぼ禁じ手の(?)、「形」をもったケンチク。
アレやアレなんかもそうだが、 どんなに抽象的につくっても、
形が勝ってしまうことを印象づける。
このケンチクでは、
外形は整形で、内部のスラブだけが、
ペコペコ折れて空間を作っている。
全体の構造計画も、
ファサード両側の壁および右手奥のEV室周辺の壁で、
構造上の耐力をとりきっていて、
あとの内部は好きにやって良し、というものだ。
圧巻なのは、その徹底ぶり。
「空間に奉仕する構造」と見えてしまうほどに、
内部空間と統合されている。
小ワザの効いたあっさりテイストで。
ブレースは、FB-125*12などにより、
極力薄い壁の中におさめるとか、
デッキプレートは、H鋼のセイのなかに落とし込んで、
スラブを薄くおさめるとかは、
まあ、ここでは並の仕事。
設計の要は、スラブ裏側が構造むき出しなので、
これをどう見せるかってことで、
部材の接合部なんかが見えるとダメ。
施工手順も含めて、ここからは推測も混じるけど、
まず、鋼管の柱頭と、梁下端は工場溶接。
運べる寸法でスパンなども決まっていると思われるが、
この、柱梁のT型部材を現場にもってきて、
柱脚は見えなくなるので、高力ボルトか現場溶接、
梁-梁の接合部は、フランジの裏当て金が見えないので、
X開先、裏ハツリをするつきあわせ溶接、
ウェブはこれもPLが見えないので、フランジと同じ溶接か。
短手に梁がなかったりするのは(デッキプレートだけ)、
施工上けっこう掟破りだったりするけど、
なんとかこれで、
組み上げてデッキ上にコンクリートを打設している。
(たぶん固まるまで施工中はグラグラ)
また、デッキの凸凹ピッチと、
梁の接合位置をすべて合わせているので、
一般部でウェブ接合が見える位置はないのだが、
階段開口部など、スラブ断面が見えてしまうところでは、
ウェブとフランジの溶接の境目や、ボルト接合のため、
部材間に隙間があく箇所では、
構造の塗料と同じ白色のシーリング材みたいなもので、
埋めて、他と同じように見せている。
要するに、目障りになるような接合部は極力消している。
そこまでやるかい。
無数の小ワザの丁寧な積み重ねで、
最終的には、合わせワザ一本という感じ。
全体として控えめな印象をうけるけど、
随所に好感がもてるケンチク。
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建築 |
: |
妹島和世建築設計事務所 |
構造 |
: |
佐々木睦朗構造計画研究所 |
施工 |
: |
大成建設 |
所在地 |
: |
東京都渋谷区神宮前 |
用途 |
: |
店舗、事務所 |
主体構造 |
: |
鉄骨造 |
竣工 |
: |
2000年 |
抽象度 |
: |
★★★☆☆ |
合わせワザ度 |
: |
★★★★★ |
ウラハラ度 |
: |
★★★★☆ |
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1.いつものファサード(スラブもうっすら見える)
2.屋上はオープンエアーギャラリーな感じ
3. 全ての箇所で、溶接位置とデッキの凸凹を合わせている
4.スラブ開口部の見切り材なので、適当なボルト接合/隙間はシーリング??
5.ウラハラジュクだからこんな客層
撮影日:
01/05/13 晴れ |