神楽岡工作公司
それいけケンチクマン!


>> バックナンバー

 ■ その7
<04/05/08>

エイチエイチスタイルドットコム hhstyle.com

裏原宿にある家具屋さん。

セジマ作品としてはほぼ禁じ手の(?)、「形」をもったケンチク。
アレアレなんかもそうだが、
どんなに抽象的につくっても、
形が勝ってしまうことを印象づける。

このケンチクでは、
外形は整形で、内部のスラブだけが、
ペコペコ折れて空間を作っている。
全体の構造計画も、
ファサード両側の壁および右手奥のEV室周辺の壁で、
構造上の耐力をとりきっていて、
あとの内部は好きにやって良し、というものだ。

圧巻なのは、その徹底ぶり。
「空間に奉仕する構造」と見えてしまうほどに、
内部空間と統合されている。
小ワザの効いたあっさりテイストで。

ブレースは、FB-125*12などにより、
極力薄い壁の中におさめるとか、
デッキプレートは、H鋼のセイのなかに落とし込んで、
スラブを薄くおさめるとかは、
まあ、ここでは並の仕事。

設計の要は、スラブ裏側が構造むき出しなので、
これをどう見せるかってことで、
部材の接合部なんかが見えるとダメ。

施工手順も含めて、ここからは推測も混じるけど、
まず、鋼管の柱頭と、梁下端は工場溶接。
運べる寸法でスパンなども決まっていると思われるが、
この、柱梁のT型部材を現場にもってきて、
柱脚は見えなくなるので、高力ボルトか現場溶接、
梁-梁の接合部は、フランジの裏当て金が見えないので、
X開先、裏ハツリをするつきあわせ溶接
ウェブはこれもPLが見えないので、フランジと同じ溶接か。

短手に梁がなかったりするのは(デッキプレートだけ)、
施工上けっこう掟破りだったりするけど、
なんとかこれで、
組み上げてデッキ上にコンクリートを打設している。
(たぶん固まるまで施工中はグラグラ)

また、デッキの凸凹ピッチと、
梁の接合位置をすべて合わせているので、
一般部でウェブ接合が見える位置はないのだが、
階段開口部など、スラブ断面が見えてしまうところでは、
ウェブとフランジの溶接の境目や、ボルト接合のため、
部材間に隙間があく箇所では、
構造の塗料と同じ白色のシーリング材みたいなもので、
埋めて、他と同じように見せている。

要するに、目障りになるような接合部は極力消している。
そこまでやるかい。

無数の小ワザの丁寧な積み重ねで、
最終的には、合わせワザ一本という感じ。

全体として控えめな印象をうけるけど、
随所に好感がもてるケンチク。



「エイチエイチスタイルドットコム hhstyle.com」
建築 妹島和世建築設計事務所
構造 佐々木睦朗構造計画研究所
施工 大成建設
所在地 東京都渋谷区神宮前
用途 店舗、事務所
主体構造 鉄骨造
竣工 2000年


抽象度 ★★★☆☆
合わせワザ度 ★★★★★
ウラハラ度 ★★★★☆


1.いつものファサード(スラブもうっすら見える)


2.屋上はオープンエアーギャラリーな感じ


3. 全ての箇所で、溶接位置とデッキの凸凹を合わせている


4.スラブ開口部の見切り材なので、適当なボルト接合/隙間はシーリング??


5.ウラハラジュクだからこんな客層


撮影日:
01/05/13 晴れ


 ■ バックナンバー

その19 横浜港大桟橋国際客船ターミナル 05/07/05
その18-2 三山木の蔵(後編) 05/03/04
その18-1 三山木の蔵(前編) 05/02/15
その17 埼玉県立大学 04/12/04
その16 古河総合公園飲食施設 04/11/08
その15 江山閣 04/09/23
その14 石の美術館 04/08/11
その13 馬頭町広重美術館 04/07/11
その12 秋野不矩美術館 04/06/26
その11 ねむの木美術館 04/06/15
その10 大田区休養村とうぶ 04/06/08
その9 マルチメディア工房 04/05/25
その8 飯田市小笠原資料館 04/05/16
その7 エイチエイチスタイルドットコム 04/05/08
その6 近つ飛鳥博物館と狭山池博物館 04/04/27
その5 まげわっぱ(今井病院附属託児所) 04/04/13
その4 大館樹海ドーム 04/04/05
その3 紙の教会 04/03/28
その2 土門拳記念館 04/03/21
その1 せんだいメディアテーク(工事中) 04/03/14


What's NEW/JOURNAL/WORKs/PROJECTs/REPORTs/FELLOWs/About Us
■