神楽岡工作公司
それいけケンチクマン!


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 ■ その11
<04/06/15>

ねむの木こども美術館

掛川市の中心部からバスで終点「ねむの木学園」まで行き、
そこからさらにきれいな茶畑などを見ながら、
歩いて30分ほどの山奥に位置する。

「子供たちにも馴染みやすい紙を使って、
緑を背景に子供たちの絵を展示できたら」
というコンセプトのもと、
内も外もスカスカに見渡せる、
自然光に溢れた空間となっている。

大屋根は、
厚さ18.3mm、せい600mmの紙のハニカムボードを、
1辺1mの面内方向にトラス状に組んで、
1辺が30mの正三角形屋根面を構成している。
これを、運搬できるサイズとして、
3m*3m(9マス)のユニットを100個、
工場で組み立てておき、
現場搬入後、地面で全体を仮組し、
リフトアップして、
柱頭位置にセットしている。
柱は、基礎からの片持ちの鋼管であり、
6mピッチで屋根を支持している。


設計者がよく使う単純すぎる幾何学形態と、
真っ白の塗装という組み合わせは、
ケンチク的には強い匿名性をもっており、
時々刻々変化する太陽の光や、
木漏れ日の具合、木々のざわめきなどが反映されやすく、
スカスカの構成と相まって、
体感的にも、あまり内外の区別を感じさせない。

天気のいい日は、外で展示しちゃってもイイだろうし、
逆に、天気の悪い日は、
照明が無いために、室内でも若干具合が悪い。


床や構造体はすべて一様に白く塗装しているため、
屋根の素材が紙なのかどうかは、
それほど重要ではなくなっているが、
幾何学的なケンチク空間、
ユニット化による構成、施工法が、
とくに矛盾無く組み上がっている様子は、
率直で気持ちよい。




「ねむの木こども美術館」
建築 坂茂建築設計
構造 播設計室
施工 TSP大陽
所在地 静岡県掛川市上垂木
用途 美術館
主体構造 ペーパーハニカム三角格子構造(屋根)+鉄骨柱
竣工 1999年


ユニット度 ★★★★☆
幾何学度 ★★★★☆
匿名的すっきり空間度 ★★★★★


1. 山奥の坂道の上にある


2. 内部空間


3. 防水はFRP折板とPVC(合成樹脂)膜


4. 接合部は鉄骨柱頭、アルミの接合金物、補強に構造用合板、木ビスなど


5. コーナーは60度なので、ものすごくパースが効いてみえる


撮影日:
02/02/13 晴れ


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