「近つ飛鳥博物館」と「狭山池博物館」
博物館建築というと、教科書的には、
展示物と特に関係のない「立派で重厚な箱モノ」と相場は決まっている。
安藤氏による、この2つの博物館ケンチクは、
巨大な箱モノを、
力強いタダオイズムによるただ一点突破の、ざっくりした全体構成。
なので余計に、
写真で見るよりも遥かにでかいメインボリュームと対峙することになる。
近つ飛鳥博物館は、大阪府南部のなだらかな丘が続く、
多くの古墳群を有する一帯に、
デーンと鎮座する大階段。むしろ、ほとんど丘。
「みみっちい展示物なんかより、この悠久の史跡そのものをみてくれい」
という意図でしょうけど、それほど何かがはっきりと一望できる訳でもなく、
どちらかというと、風に身をゆだね、想いを馳せる感じ。
建物入り口へのアプローチは、この丘の脇にある唐突な亀裂を通って、
後ろ側へ回り込む。
内部はそれほど造り込まれていない、だだっ広い展示空間。
外観上、重要と思われた塔状部分は、なんと空洞。
深遠なる闇が、唐突に展示室天井に開いている。何じゃこれは?
ほとんど地上階での出来事だとおもうけど、
とにかくすごい地下に潜ってた気分になる。
狭山池博物館は、
敷地がほとんどフラットなのに、エントランス周辺は
迷路のような通路や噴水やら滝、広場が。
低密度の住宅地と関係を切りたいのはわかるけど、
この設計密度の薄さはご愛嬌。
圧巻はメインの直方体ボリューム。
この、窓すらない巨大ボリュームをどうつかうんだ、
という内部には、改修され積層されたさまが生々しい、
堤体断面がそのまま収まっている。
期待を裏切らない、直球勝負はサスガ。
「大阪府立近つ飛鳥博物館」■ |
建築 |
: |
安藤忠雄建築研究所 |
構造 |
: |
アスコラル構造研究所 |
施工 |
: |
鴻池組、三菱建設 |
所在地 |
: |
大阪府南河内郡河南町 |
用途 |
: |
歴史博物館 |
主体構造 |
: |
鉄筋コンクリート構造 |
竣工 |
: |
1990年 |
タダオ度 |
: |
★★★★☆ |
びっくりボリューム度 |
: |
★★★☆☆ |
展示品充実度 |
: |
★☆☆☆☆ |
「大阪府立狭山池博物館」■ |
建築 |
: |
安藤忠雄建築研究所 |
構造 |
: |
和田建築技術研究所 |
施工 |
: |
藤木工務店、井上工業共同企業体 |
所在地 |
: |
大阪府大阪狭山市池尻中 |
用途 |
: |
博物館 |
主体構造 |
: |
鉄筋コンクリート構造 |
竣工 |
: |
2001年 |
タダオ度 |
: |
★★☆☆☆ |
びっくりボリューム度 |
: |
★★★★☆ |
展示品充実度 |
: |
★★★★☆ |
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1.山裾に埋め込まれている
2.アプローチ
3.そそり立つ塔(空洞)
4.迷路の一部
5.メインボリューム
6.堤体の断面
撮影日:
01/12/23 曇り |