神楽岡工作公司
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 ■ その6
<04/04/27>

「近つ飛鳥博物館」と「狭山池博物館」

博物館建築というと、教科書的には、
展示物と特に関係のない「立派で重厚な箱モノ」と相場は決まっている。


安藤氏による、この2つの博物館ケンチクは、
巨大な箱モノを、
力強いタダオイズムによるただ一点突破の、ざっくりした全体構成。
なので余計に、
写真で見るよりも遥かにでかいメインボリュームと対峙することになる。




近つ飛鳥博物館は、大阪府南部のなだらかな丘が続く、
多くの古墳群を有する一帯に、
デーンと鎮座する大階段。むしろ、ほとんど丘。
「みみっちい展示物なんかより、この悠久の史跡そのものをみてくれい」
という意図でしょうけど、それほど何かがはっきりと一望できる訳でもなく、
どちらかというと、風に身をゆだね、想いを馳せる感じ。


建物入り口へのアプローチは、この丘の脇にある唐突な亀裂を通って、
後ろ側へ回り込む。
内部はそれほど造り込まれていない、だだっ広い展示空間。
外観上、重要と思われた塔状部分は、なんと空洞。
深遠なる闇が、唐突に展示室天井に開いている。何じゃこれは?
ほとんど地上階での出来事だとおもうけど、
とにかくすごい地下に潜ってた気分になる。




狭山池博物館は、
敷地がほとんどフラットなのに、エントランス周辺は
迷路のような通路や噴水やら滝、広場が。
低密度の住宅地と関係を切りたいのはわかるけど、
この設計密度の薄さはご愛嬌。


圧巻はメインの直方体ボリューム。
この、窓すらない巨大ボリュームをどうつかうんだ、
という内部には、改修され積層されたさまが生々しい、
堤体断面がそのまま収まっている。
期待を裏切らない、直球勝負はサスガ。





「大阪府立近つ飛鳥博物館」
建築 安藤忠雄建築研究所
構造 アスコラル構造研究所
施工 鴻池組、三菱建設
所在地 大阪府南河内郡河南町
用途 歴史博物館
主体構造 鉄筋コンクリート構造
竣工 1990年

タダオ度 ★★★★☆
びっくりボリューム度 ★★★☆☆
展示品充実度 ★☆☆☆☆


「大阪府立狭山池博物館」
建築 安藤忠雄建築研究所
構造 和田建築技術研究所
施工 藤木工務店、井上工業共同企業体
所在地 大阪府大阪狭山市池尻中
用途 博物館
主体構造 鉄筋コンクリート構造
竣工 2001年

タダオ度 ★★☆☆☆
びっくりボリューム度 ★★★★☆
展示品充実度 ★★★★☆
  


1.山裾に埋め込まれている


2.アプローチ


3.そそり立つ塔(空洞)


4.迷路の一部


5.メインボリューム


6.堤体の断面


撮影日:
01/12/23 曇り


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