古河総合公園飲食施設
広い公園の中の、休憩所みたいな飲食施設。
といっても、建物の一角が屋台程度の売店になっている感じ。
一応、建築の姿をしているものの、
なにか特定の用途を連想するものではない。
丘があって、池があって、
芝生が生えていて、大きな木があるそばに、
ピッと屋根がかかっている場所がある、
ということが設計意図そのものなのだろう。
建物は、約10m*25mの長方形平面で、
柱は60φの鋼管、屋根はデッキと鉄板合わせて30mm。
これら極限まで薄く細い要素を成立させるために、
計4枚の鉄板耐震壁が配置されている。
白い、軽い、透明ケンチクとしてカテゴライズされるこの種の物件、
あくまでも、それらは「手段」でしかない。
ふわっとした領域をつくること、
そのことのために、構造設計者は、
無駄な構造をそぎ落とし、
鏡面仕上げの耐震壁を導入してまで、
通常では考えられない、柱の細さ、階高を実現し、
設計者は、目につくディテールをことごとく消していき、
また、周囲の環境を生かすために、
極力物理的に外と切れない空間を志向する。
結果的に出来上がった躯体は、
ひょろひょろの鉄骨とガラスだが、
設計の目的は、
「天気のいい日に藤棚の下のような感じの空間をつくること」
とかそんなことだと思う。
昨今のにわかケンチクブーム、
それを牽引しているのは、いまのところ、
「構造かっちょええスタイル」と、
「木造の静かな佇まいスタイル」だと思われるが、
いずれもそのこと自体が「目的」になっているだけのケンチクは、
一過性のブームとして浪費されるだけのもの。
例えば、鉄とガラスの反対として、木と土でつくっただけでは、
結局、同心円上を走っているだけなのでは。。。
きちんと空間をつくれる建築家+エンジニアのセットってやっぱり希有だ。
「古河総合公園飲食施設」 |
建築 |
: |
妹島和世建築設計事務所 |
構造 |
: |
佐々木睦朗構造計画研究所 |
施工 |
: |
栗原建設 |
所在地 |
: |
茨城県古河市 |
用途 |
: |
飲食施設 |
主体構造 |
: |
鉄骨造/摩擦杭 |
竣工 |
: |
1998年 |
ひょろひょろ躯体度 |
: |
★★★★★ |
実は三回も泥棒はいった度 |
: |
★★★★★ |
これが家やったらすめへん度 |
: |
★★★★★+ |
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1. アプローチ。斜めから見ると、尋常じゃない数の柱(とその細さ)
2. 丘側から見る
3. 池の反対側から見る。むこうの丘が透けてたり
4. 要素の少ないディテール。やや無茶してる感もあり
5. 細い感じとか、高い感じとか、外と切れてない感じとか
撮影日: 02/02/27 晴れ |