神楽岡工作公司
それいけケンチクマン!


>> バックナンバー

 ■ その15
<04/09/23>

江山閣

茨城県水戸第一高等学校の同窓会が、
母校の創立120周年を記念して寄贈した合宿所。
設計者もここの卒業生。

「合宿所」ということで、
明確な設計条件がある、というよりも、
様々な使い方に対応できるフレキシブルな空間が要求されている。
建物は、一辺が16.35mのシンプルな正方形。

こういった場合、
動かせない構造要素が邪魔になるわけで、
それを、背面の風呂トイレ部分などで集中してとり、
前面はコーナーに直径101.6mmの円柱が1本あるのみ。
屋根は、厚さ250mmの鉄板サンドイッチパネルという一枚板で、
居室部分は無柱空間を実現している。

これを可動間仕切りで3つに分割し、
一番背面が構造要素が集中する風呂トイレ、
真ん中が畳敷きの広間、
前面がモルタル金ゴテ押さえの土間となっている。

平屋なので構造的にも多少の無茶が可能で、
例えば外周の変形はそれなりに大きいと思われるが、
ガラスのサッシが屋根スラブの小口に張り付くディテールになっているので、
揺れたときのサッシの逃げが大きく、
また、このことが意匠的には、
外周のサッシを並べただけで、
この領域を切り取ったようにみえるので、
(いわゆる梁とかパラペットとかがない)
ごく素直な設計意図を感じる。

外周はサッシだけで空間が区切られ、
内部も可動間仕切りで区切られる。
開ければ、スカスカ。

可動間仕切り壁が室中央付近で動きが重くなるので、
実は屋根面が少し垂れてるってのはご愛嬌。

建物の敷地は、
高校の本館らしき建物の側面をとおる道に面しており、
植木や雑草がモジャモジャしげる箇所に、
わりと無造作に建物は建っている。

ガラス一枚隔てて、そのモジャモジャなので、
嵐の日なんかはエラい怖そうだけれど、
スカスカの感じが、
模型の中に住んじゃってるようで、やっぱり楽しい。




「江山閣」
建築 妹島和世建築設計事務所
構造 佐々木睦朗構造計画研究所
施工 山形工務店
所在地 茨城県水戸市三の丸
用途 合宿所
主体構造 鉄骨造
竣工 2000年


仕切りの可動度 ★★★★☆
攻めの構造度 ★★★★☆
さてはプラ板でスタディーしたやろ度 ★★★★★+


1.ファサード面積の95%はガラスサッシ(竣工時には庇はなかった)


2.室内からコーナーの柱を見る(このイスとテーブルを収納する倉庫はやはりない)


3. 手前から、土間、畳敷きの広間、風呂トイレ


4. わりと無造作な敷地周辺(裏側)


5. グラウンド(左側)からぐぐぐっと回り込んできて本館裏手駐車場へ(撮影位置)



撮影日:
02/02/26 晴れ


 ■ バックナンバー

その19 横浜港大桟橋国際客船ターミナル 05/07/05
その18-2 三山木の蔵(後編) 05/03/04
その18-1 三山木の蔵(前編) 05/02/15
その17 埼玉県立大学 04/12/04
その16 古河総合公園飲食施設 04/11/08
その15 江山閣 04/09/23
その14 石の美術館 04/08/11
その13 馬頭町広重美術館 04/07/11
その12 秋野不矩美術館 04/06/26
その11 ねむの木美術館 04/06/15
その10 大田区休養村とうぶ 04/06/08
その9 マルチメディア工房 04/05/25
その8 飯田市小笠原資料館 04/05/16
その7 エイチエイチスタイルドットコム 04/05/08
その6 近つ飛鳥博物館と狭山池博物館 04/04/27
その5 まげわっぱ(今井病院附属託児所) 04/04/13
その4 大館樹海ドーム 04/04/05
その3 紙の教会 04/03/28
その2 土門拳記念館 04/03/21
その1 せんだいメディアテーク(工事中) 04/03/14


What's NEW/JOURNAL/WORKs/PROJECTs/REPORTs/FELLOWs/About Us
■