「せんだいメディアテーク(工事中)」
伊東さんが空港から送ってきたという最初のふにゃふにゃイメージスケッチから始まった、
20世紀最後のバケモノケンチク。
極限まで薄いスラブが積層され、
地上からのびるチューブがそれを貫通している。 「透層する建築」という言葉までつくった。
鉄骨チューブは、地下1階から地上7階まで塔状の片持ちで、
スラブはそれに引っかかっているだけ。
また平面的なバランスを考え四隅の大きなチューブだけが地震力を負担し、
その他の小さいチューブはほとんど自重だけを支えている。
チューブは細径厚肉鋼管(径 139.8〜240mm、肉厚 9〜39mm、FR鋼)によって構成され、
スラブの厚さはわずか400mm。
設計当初はこのチューブに屋上から光が落とされ、
構造体のスカスカ感をさらに演出し、重力を感じさせない積層空間が指向されていた。
しかし、精度よく組み上がる鉄骨はあまりにも屈強に見え、
チューブ部分に縦動線や配管が可視化されてくるにしたがい、
ほとんどメディア規制のようなイメージ戦略が展開された。
網タイツのようなチューブの模型や、デジタルに解体されたCAD図面などが誌面にならんだ。
オープン後、再び建物に対面した時は、
誌面での既視のイメージから大きく乖離していることだけが気になり、
実際の建築空間の中で、理想化された建築の姿を探し求め、はたと気づく。
「実物すら媒体(メディア)なのか」
というオチにひどくがっかりした。
公共建築の難しさ煩わしさはあるにしても、
奮闘したエンジニアはみんなピエロじゃないかい?
いずれにしても、構造設計者にも脚光が集まるようになったのはいいことなんだろう。
その弊害として、
構造事務所がアイデアのない建築家の「かけこみ寺」みたいになってるのはいかがなものか。
突飛な構造だけを売りにしても、
低俗な表現主義にしかならないのに。
そんななか、
伊東氏の今後の展開が気になる。
トッズ表参道だ。
「重いものをわざわざ軽く薄くみせるこたーない」という、
表現主義とは少し違った、強い構造の見せ方をした新展開から目が離せない。
「せんだいメディアテーク」 ■ |
建築 |
: |
伊東豊雄建築設計事務所 ■ |
構造 |
: |
佐々木睦朗構造計画研究所 |
施工 |
: |
熊谷組・竹中工務店・安藤建設橋本共同企業体 |
所在地 |
: |
宮城県仙台市青葉区 |
用途 |
: |
図書館、美術館、映画館 |
主体構造 |
: |
B1F〜7F/鉄骨造、地下2階/RC造 |
竣工 |
: |
2000年 |
ガチンコケンチク度(工事中) |
: |
★★★★★ |
ガチンコケンチク度(完成後) |
: |
★★★☆☆ |
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1〜4. 工事中の様子
1.
2.
3.
4.
撮影日:
00/10/25 曇り |