『読谷トルネード』は、SHARP製大型液晶テレビ"AQUOS"の雑誌広告のために製作された、土のテレビ台である。
コンクリート打ち放しの壁面と極めてシンプルなデザインのAQUOSに対して、土の表情をなるべく素直に見せてやることが第一の狙い。しかし、ロケ地となった沖縄の日差しはあまりに強烈であり、平滑に仕上げれば表情は全て飛んでしまう。またトップライトからの光はほぼ垂直に差し込むため、数ミリの起伏は数十センチの影を落としてしまう。そのような光にあわせてスタディを行いながら、仕上げは全て現場で決定された。材料は京都産の黄土を用い、砂やワラすさの微妙な凹凸が細かい影を落とすように、若干粗めの引きずり仕上げとしている。中央部にはアクセントとしてワイヤブラシ掻き落としによる模様をつけた(「トルネード」という名はこの掻き落としの形から命名)。
この作品は広告写真のための仮設的なものであり、撮影の翌日には解体されてしまったのであるが、結果として土という素材・左官という技術が、いわゆる「モダンデザイン」とどのような関係をもちうるか、一つの可能性を呈示できたのではないかと思う。
| 2004.11.10 |