京都市内の古い木造家屋が密集する地域にある築70年ほどの木造建物を改修し、アトリエを増築した住宅である。
路地奥の古家付きの敷地を購入した夫妻は、隣家と繋がった既存の木造家屋を残しながら、新しい空間を付け加えることで彼らにとって快適な住まいを作りたいと考えていた。敷地内の建物を切り離し・解体して新築するという選択肢があったにもかかわらず、である。そこで、既存部分の手前に天井高の必要なアトリエ空間を増築し、水回りなど必要な機能を既存部分に挿入することで、新旧の空間や素材、技術がコラージュされた、変化に富んだ空間を実現したいと考えた。
コラージュ・ハウスは、何か一貫した一つのシステムで覆われた空間ではなく、部分部分で施されたデザインの集合としての空間である。使った素材はどれも我々が身近に出会う素材、ガラスやタイル、ポリカーボネイト板やガルバリウム鋼板、昔ながらのスギ板や土壁である。大量輸送交通が発達した現代においては、限られた素材とデザインで統一されたかつての民家や集落のような美しさは望むべくもない。バラバラの背景を持つ素材がコラージュのように組み合わせられた環境にでも我々は「美しさ」や「心地よさ」を見いだせるはず・・・というのがこの空間を生んだそもそもの動機である。
| 2004.11.12 |