シエスタには、木陰のように環境に感応し、絶えず変容する空間がふさわしい。
眠りの中で意識は次第に周囲に流出し、空気、光の変化にあわせて漂うのである。
うつろいやすき空間に厳格な構造は似合わない。
空間を構成する材料には、シエスタを妨げない、快適で柔らかい素材が求められる。
スケールは大きすぎず、小さすぎず、身体に寄り添う規模がよい。
また、リサイクル可能であり、環境に付加を与えないもの、かつコストの安いものが求められる。
シエスタは都市空間のいかなる場所においても可能でなければならない。
そのため、Sweet SIESTAは都市のいかなる敷地にも対応可能であることが要求される。
また使用後も他の場所に移設し、再利用することが可能でなければならない。
これらの条件を満たすものとして、Sweet SIESTAは内径1.9m、外径2.5mの筒型断面の、紙製ハニカム構造を提案する。
筒型のハニカム構造は、全体が構造材であると同時に家具でもあり、空気・光の変化に感応する軽量で柔らかな皮膜を生みだす。また敷地形状に応じて柔軟に変形可能である。起伏に沿ったなだらかな曲面の中で、人々はそれぞれ気に入った場所を見つけ休息するだろう。
ハニカム構造は折り畳んで容易に移動可能であり、引き延ばすだけで瞬時に空間が完成する。一般的材料の使用、建設技術の簡潔さは環境への負荷を減らす。紙である故にコストは低く、再利用も可能である。
Sweet SIESTAは、夜は休息・団らんの場として用いられる。
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● アテネにおけるSweet SIESTA
● ハニカム構造
● 内観 1
● 内観 2 |