神楽岡工作公司
門松を作ろう


記:樋貝憲治 < 2004 / 01 >
■ え、門松って何?

かど-まつ【門松】
新年に、歳神を迎える依代(よりしろ)として家々の門口に立てて飾る松。松飾り。飾り松。立て松。(広辞苑より)


古くは木の梢などに神が宿ると考えられており、これを飾る事によって幸せが訪れるという事で、神聖な木の枝を立てました。そして、年神様はそれを伝って降臨すると信じられていました。


最近では、一般家庭ではなじみの少なくなった「門松」。正月に街を歩いていて「門松」を発見しても、たいがいはお店であったり会社であったりで、住宅街ではあまり見られない。僕は、門松保存会の会長(そんなのあるの…?)ではないが、これも日本独特の文化のひとつだと思うし、存在を忘れられるのは、ちと寂しい。「聖なる小枝に神が宿り、幸せを運んでくれる」…なんて!ロマンチックなんでしょう!(うわぁ〜!書いちゃったぁ〜!に似合わず…)
もともとは「根引き松」(本ページ下部「門松いろいろ」参照)から始まった事を考えれば、「門松」も進化してきたのです。だから型にこだわることなく、自分のオリジナルのデザインで自由に作ってみると楽しいと思います。ここらで門松を見直してみてはどうでしょう。



■ いつ飾るか

門松も含め、お正月飾りは12月の26日〜28日までに飾ったほうがよい。

タブーは・・・
 29日:「二重苦」「苦松」=「苦が待つ」となり縁起がよくないといわれます。
 30日:旧暦では大晦日にあたるので31日と同じ。
 31日:神様を迎えるのに失礼な「一夜飾り」とされます。


昔は元日から15日までを「松の内」といい、正月の松飾りのある間のことを称した(現在では普通7日までをいう)。戦国時代においても、この期間は休戦にしようという暗黙の了解があったそうだ。たとえ城を包囲して敵の大将の首を取る寸前であっても、正月になると戦もピタッと止まったそうだ。まるでボクシングを見ているようだ。ゴングに救われるのと同じような感じだろうか。戦は「松がとれて」から始めることになる。「松がとれる」という言葉はおそらく門松などの正月飾りがとれることを意味しているのでしょう。





■ 材料
竹は竹屋さんで、その他の材料は花屋さんなどで購入できます。

◎ 青竹: 地下茎を張り巡らせ次々と筍(たけのこ)を生じ、それがあっという間に伸びることから「威勢がよい」、節があることから「節度がよい」、青いことから「清浄である」とされる。

幹の青い生竹。普通マダケや孟宗竹などを使う。竹屋さんで簡単に手に入る。お店によっては、ばら売りをしてくれないところもあるが、たいがいは1本単位でも売ってくれる。出来れば20日以降に買うのが望ましい。なぜなら、竹は切られるとだんだん青さが抜けて白くなってくるから(竹屋さん談)。

“千歳を契り”と言うだけあって、長寿や節操を象徴するものとして古来尊ばれている。神の依る神聖な木であり、松竹梅の筆頭。
寒い時期に花が咲くことから「忍耐力」を象徴する。
仙蓼 センリョウ。価値の非常に高いことを意味する「千両」のゴロ合わせ。
南天 これもゴロ合わせであるが、「難を転ずる」になる。
卯(東)の木といい、東は太陽が昇る方向であるから、物事が上り調子になるということで縁起がよい。
葉牡丹 ボタンは花の王様であり、これに匹敵する物である。
隈笹 風に当たると脱色し丸まってしまうため、充分に水に浸したあとビニール袋に入れて密封しておく。





■ 組み立て

さあ!作ります! まずは青竹を水でゴシゴシとしごいて汚れを洗い落します。

切り口が見えるように斜めに切ります。節のところで切ると、笑っている顔に見えることから縁起が良いと言われています(写真左)。根元側の方から切るとささくれを防げます(今年はすっかり忘れていて真横から切ってしまい大失敗。笑い顔になるはずが、よだれ垂らしのスケベ顔になってしまいました。ちなみに、この「スケベ顔門松」は神楽岡の事務所の前で見ることが出来ます)。
また、地方によっては先を尖らせずにまっすぐに切っている所もあるようです(写真中)
ノコギリをいれる角度が小さくなると切り口は広くなります。切る長さは、背丈50cmのものなら3本がそれぞれ10cm位の差があれば充分でしょう。


組み立てます。
入れ物は何でも良いのですが、僕は全部竹でこだわってみました。器は孟宗竹、本体はマダケです(写真・上右)。器の部分をコモでくるんで、縄で巻きます。



※ コモ【菰・薦】:ワラで織って作ったむしろ。もともとは「マコモ」で作っていたそうだ。





■ 盛りつけ

さあ!盛りつけです!

「1対は雌松と雄松からなり、雌松(葉が短くて細い)を向って右に飾る」のがいいとか何とかあるらしいですが、現在手に入る松といったら、黒松(雄松)の徒長枝がほとんどで、赤松(雌松)は聞いたことがない。どこかで剪定したのがあれば手にはいるかも知れない。だから特に難しいことを考えず、個人の感性で、生け花を生けるような感じで盛りつければいいと思う。

でも、何も考えずしてやるのは難しいと思います。だから、何か“形容詞”か“副詞”を頭のなかで意識しておくとやりやすいと思います。例えば‥‥「おめでたく」とか「はんなりと」とか「ゴージャスに」とか「さわやかに」とか「きもちよく」とか‥‥人によってその言葉は違うハズです。

※ クマザサは風に当たるとすぐに丸まってしまうので、 現場で一番最後に入れた方が良いでしょう。
  それまでは、 ビニール袋に入れておきます。







■ いきなり完成








付. 門松いろいろ

繁華街(祇園界隈)に出て‥‥



「根引き松(ねびきまつ)」といい、門松の原型。根ごと引き抜いたものを用いる。

一般的な形。入れ物の表面は割竹で仕上げてある。

このように入り口の両側に置くのが一般的。

左:葉ボタンをを目立たせ、ちょっぴり洋風に

右:松はないがこんなのも素敵。


続・門松を作ろう
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