神楽岡工作公司
「Deep South Nara」顛末記


記:山田協太

「Deep South Nara」顛末記

2004年11月28日(日)に決行された神楽岡秋の遠足(KAE)の報告です。
今回は奈良盆地南部の山際の道をひた走ることで、室生寺、長谷寺、談山神社、当麻寺という南部の主要社寺を尽く鑑賞し倒すという意欲的かつ挑戦的な企画だった。
参加者は山田、柳沢、森田、水谷、門籐、鈴木、金谷、外園、臼田、野畑、久住、岡の12名(敬称略)

以下では時系列に沿って当日の様子を追ってゆきたい。




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7:30
出発

神楽岡に参加者が集合、雲一つない晴天は絶好の遠足日より。久住氏、岡氏の2名が飛び入りで参加し、車は百万遍へ向かう。

8:00 百万遍で待合せした他の参加者を乗せメンバーが全員集合。遠足のしおりを配布し遠足がはじまる。各自コンビニで朝食を買い込むとカーナビに従い1号線を南下し一路奈良へ向かった。




10:30
室生寺

カーナビの優秀さに今更ながら感動していると早くも第一目的地、室生寺に到着。順調な滑り出し。

駐車場を降りてしばらく川に沿って歩くと太鼓橋が見える。橋を渡り川沿いをなお歩くと仁王門があり、ここから先が境内である。木々の色づきもよく紅葉狩りにも絶好のタイミングである。朝早い時刻故か人影はまばら。

室生寺は山の斜面に沿って一直線に階段を駆け上る伽藍構成。階段に沿って金堂、本堂、五重塔、奥ノ院が連なり参拝者を迎え撃つ。急峻な山道の試練をものともせず奥ノ院にたどり着くことが我々に与えられた任務である 1

石段を1段また1段と上ると中ボスクラスの金堂 2、そして本堂へ  3。各人各々に参拝、写真撮影をおこない気づけば皆散り散りになっていた。金堂、本堂クリアするといよいよ有名な五重塔だが、早くも離脱者発生の気配。大工の健太郎は金堂の縁を支える八角形の束に魅せられその場を離れない 3-2。仕方なく健太郎と別れ五重塔へ向かった。

塔は6年前の台風の被害後に修復され色鮮やかに甦っていた 4。上についた相輪を含めて高さ16.1mしかなく、さすがにこう小さいと模型のようである。さらに石段を登り奥ノ院を目指すが、ここで前夜中国経済に関して徹夜で議論を戦わせた4人組が脱落(因みに水谷氏の圧勝であったらしい)。余力のある者は散り散りに最終目的地を目指した。

これまでの2倍程の石段を登るとラスボスの奥ノ院が見えてきた 5。絶壁にそびえ立つ懸造りの容姿は圧巻。なにはともあれ無事奥ノ院にたどり着き任務完了。カッコイイ!と写真を撮りまくった後、麓に降りた。

下山後、全員揃うのを待ちつつ麓の村落を散策していると真新しい倒壊家屋を発見。ファサードは残しつつ中央部の棟が落ち内部が陥没した模様。この間の地震あるいは台風で被害を受けたのだろうか。居住者の受けた災難を思いつつあまりに迫力があったので1枚撮影させて頂いた 6

気がつけば時刻は12:30をまわっている。いきなり全行程の達成が危ぶまれるという大ピンチ。全員車に飛び乗り次なる目的地長谷寺へ。道すがら寺院のパンフレットを見ると実は崖の上の懸造りの建物は位牌堂であり奥ノ院はさらに奥であった。また車中、森田氏が地元産だといわれて購入したザクロを食したが、そこには何と‘California’のラベルが。室生寺あなどるべからず。




13:20
長谷寺

長谷寺参道着。早めに第三の目的地へ行くため、境内での拝観時間を決める作戦を実行。しかし、境内にたどり着く前に参道に軒を連ねる良い仕事の町家やら土産物屋やらに行く手を阻まれ、結局仁王門には14:00着 7,8。30分であわただしく境内を見た。

花で有名な寺院だが、建築的にも傾斜地を生かした伽藍構成がすばらしい。モダンな香りすらするトンネル状の回廊 9をのぼってゆくと道が1度折れ、2度折れ本堂に至る 10。折れ曲がったパースの効いた長い回廊を歩いていると方向感覚が失われ、自分の位置がわからなくなってくる。

石段を登り切ると本堂へは脇から入り、内陣と外陣で挟まれた門状の空間をくぐって薄暗い内部へはいるかたちとなる 11。中央に至ると、歩いてきた道と直交する建物正面(観音菩薩の視線の方向)に視界が開け、とたんに風景も暗から明へ反転する 12。縁の先に出ると眼下にはトンネル状の回廊と門前町が拡がり、今まで巡ってきた世界を一望のもとに看取ることができる 13。明暗と軸線の操作によって強烈な空間体験を実現した寺院建築の傑作である。本堂自体も太くて背の高い丸柱で構成された木組が力強い。

もう少し余韻に浸りたいところだが急いで下山、談山神社へ向かった。




15:20
談山神社

談山神社着。長谷寺同様麓の門前町が魅力的である 14

斜面には等高線に沿って石垣で固めた横長のステージが築かれていて、直登する1本の石段を登って各ステージへと至る構成。最上段のステージの裏手から祭神である鎌足公の墓所御破裂山へ至る山道が延びている。
ステージごとにメインとなる建築が配されている。最上段の楼門、拝殿、本殿のコンプレックスが秀逸 15,16

さすがに山寺、山神社3つ目は体力的にきつく、既にグロッキー状態で祭神鎌足公の墓所へはとても行けず。下山するとタイムサービスで麓の茶店のうどん、おでんが半額になっていた。こんなアバウトな値段設定ってありなのだろうかと思いつつ、この期を逃さず遅めの昼食を頂いたのは云うまでもない。




16:10
当麻寺へ

談山神社発、当麻寺へ。間に合わないムード濃厚。室生寺で無計画に時間を使いすぎた、いや、長谷寺の門前町がいけなかったのだろうか、などと考えを巡らせつつナビを見つめてひた走る。予断を許さない状況であるが、ナビの予想では16:40に当麻寺着。滑り込みでなんとか拝観できるかもしれない。

16:45 途中道路が混んでいたこともあり予定時刻が大幅に遅れた。最後は道を間違えあえなくリタイア。なし崩し的に今井町を見物して全行程は終了。無念なり。(閉館後であるにもかかわらず資料館を見せて頂き、今井町の職員の方には大変親切にして頂きました)




XX:XX
帰路

今回の裏メインイベントとも呼べる菜華ラーメンを食べる会が発足。天理市にある屋台を目指して出発。一同疲労困憊で爆睡状態(外園氏、岡氏運転ご苦労様でした)。学生時代に行ったという森田氏の驚異的記憶により、奇跡的に屋台を発見。ラーメンを食し一同ご満悦。帰路に就いた。




21:00
解散

百万遍着、解散。皆様お疲れ様でした。

余談ながら、ラーメンを食べて出発後、すぐに「菜華ラーメン」と書かれた別の屋台のラーメン屋を発見。そういえばさっきの店は「菜華ラーメン」と書いてなかったような…… まあ、うまかったから良し!


全般的に奈良にやられまくった内容だった。
来年は、リベンジで「Another Deep South Nara」と題し、今回行けなかった奈良盆地南西部の建築見学ツアーを行いたい。乞うご期待。




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